新NISAという言葉をテレビのニュースや雑誌の特集、あるいは職場の雑談などで毎日のように見聞きするようになりました。
「物価も上がっているし、将来のために自分もそろそろ投資を始めてみようかな」と、勇気を出して資産形成への第一歩を踏み出そうと決意された初心者の方も多いことでしょう。
ただ、これまで投資に全く触れてこなかった状態だと、「誰かに教えてもらいたい」「プロに直接相談したい」と考え、まずは給与振込などで普段からお世話になっている身近な銀行の窓口へ足を運ぼうとするのは、ごく自然なことです。
しかし、いざ窓口へ行く前にインターネットやSNSで少し検索してみると、「新NISAを銀行の窓口で相談するのは危険」「絶対にやめとけ」「カモにされるだけだ」といった、非常に強い否定的な言葉が次々と飛び込んできて、すっかり不安になってしまったのではないでしょうか。
「大切なお金を預ける話なのに、なぜ国が認めた銀行が危険と言われているの?」
「ネット証券が良いとは聞くけれど、誰も助けてくれないネットで投資をする方がよっぽど怖い」
そのように板挟みになり、どうすればいいのか分からず立ち止まってしまっている方に向けて、この記事を書いています。
私自身も数年前、将来のお金の不安から「投資を始めなきゃ」と焦り、右も左もわからないまま地元の銀行の扉を叩いた経験があります。
その日は休日で、少し緊張しながらも「銀行のプロに任せれば、きっとなんとかしてくれるはずだ」と本気で信じていました。
綺麗で静かなロビーに通され、フカフカのソファに座り、丁寧にお茶まで出していただき、担当の女性は私のまとまらない将来の不安を何時間も親身になって聞いてくれました。
そして、「お客様にぴったりの、毎月お小遣いのように分配金が受け取れる素晴らしい商品がありますよ」と、分厚く立派なパンフレットを見せられたのです。
危うくその場でハンコを押しかけましたが、「念のため家族に相談します」と持ち帰り、後から自分でその商品を調べてみて、背筋が凍るような思いをしました。
もしあの時、窓口で言われるがままに契約していたら、私は今頃、自分の大切な資産を「手数料」という形で大きく削り取られ、後悔の念に苛まれていたことでしょう。
この記事では、新NISA初心者が銀行の窓口で相談することがなぜ「危険」と言われるのか、その本当の理由と裏側のカラクリを、包み隠さず分かりやすく解説します。
さらに、すでに銀行で手続きをしてしまった方のための具体的な対処法や、初心者が安全に資産形成を始めるための具体的なステップまで、圧倒的なボリュームと深さで余すところなくお伝えします。
この記事を最後までじっくりとお読みいただければ、ネット上で囁かれる「危険」という言葉の真意が腑に落ち、あなた自身で確信を持って新NISAのスタートを切ることができるようになります。
この記事のポイント
- 銀行窓口が危険と言われる最大の理由はネット証券との圧倒的な手数料の差
- 無料相談のカラクリは手数料の高い商品を売って利益を出すための営業活動
- どんなに親身な銀行員でも会社からの厳しい販売ノルマを抱えている実態
- メガバンクだけでなく地方銀行やゆうちょ銀行でもビジネスモデルは全く同じ
- 窓口の空気に飲まれて不要なアクティブファンドや外貨建て保険を買わされるリスク
- すでに銀行で口座開設や予約をしてしまっても後からネット証券へ変更可能
- スマホ操作が不安でも数十万円単位の損を防ぐためにネット証券一択
- 初心者はSBI証券か楽天証券で王道のインデックスファンドを選ぶのが正解
なぜ新NISAを銀行の窓口で相談するのが「危険」なのか?

お金を騙し取られるわけではない!本当の「危険」とは
インターネット上で「銀行窓口は危険だ」「ぼったくりだ」という言葉を見ると、まるで詐欺グループに全財産を奪われてしまうかのような恐ろしいイメージを抱いてしまうかもしれません。
しかし、結論から申し上げますと、銀行の窓口でNISAを始めたからといって、振り込め詐欺のようにお金を騙し取られたり、預けたお金が突然ゼロになってしまったりするわけではありません。
銀行は国(金融庁)から厳しい審査を受けて免許を与えられた、社会的信用の高い立派な金融機関です。
法律に違反するような犯罪行為を行っているわけでは決してありません。
では、なぜこれほどまでに投資の経験者たちから「危険」だと警告されているのでしょうか。
それは、合法的に、そしてお客様自身が全く気づかないうちに、皆さんの大切な資産が「高い手数料」という形で、何十年にもわたって少しずつ、しかし確実に削り取られていく仕組みになっているからです。
例えるなら、「底に小さな穴が開いたバケツ」でお金を増やそうとしているような状態です。
あなたは毎月一生懸命にバケツに水(お金)を注いで、将来のために水を貯めようとします。
しかし、銀行で買った商品はバケツの底に「高い手数料」という穴が開いているため、運んでいる最中にポタポタと水が漏れ続けてしまいます。
1日や2日ではその漏れは気になりませんが、NISAのように10年、20年という長い年月をかけて水を運んだ後、いざバケツの中身を見てみると、「あれ?思ったより全然水が貯まっていないぞ」という悲しい事態が起きてしまうのです。
お金を直接騙し取られるわけではないからこそ、長期間にわたってじわじわと資産が目減りしていくことに気づきにくい。
これこそが、銀行窓口に潜む本当の恐ろしい「危険」の正体なのです。
ネット証券と銀行の手数料比較!将来の損失額シミュレーション

銀行窓口の最大のデメリットであり、ネット証券と決定的に違うのが、取り扱っている商品の「手数料の高さ」です。
投資信託(NISAで買う商品の詰め合わせパックのようなもの)には、主に二つの手数料が存在します。
一つ目は、商品を買う時に一度だけ支払う「買付手数料(購入時手数料)」です。
二つ目は、商品を持っている間、ずっと毎年支払い続けなければならない「信託報酬(運用管理費用)」です。
現在、SBI証券や楽天証券といった大手のネット証券では、新NISAで買える投資信託の買付手数料は「すべて無料(ノーロード)」です。
そして何より重要な「信託報酬(持っている間にかかる維持費)」も、ネット証券が主戦場としている優良なインデックスファンドであれば「年間0.1%前後」という驚異的な安さに設定されています。
一方、銀行の窓口に並んでいる商品はどうでしょうか。
買付手数料が1%〜3%かかる商品が平気で混ざっており、さらに信託報酬に至っては「年間1.5%〜2.0%」もする商品が主力として販売されています。
「たかが1%や2%の違いでしょう?プロに相談できるなら、そのくらいのコンサルティング料は安いものだ」と思われるかもしれません。
しかし、投資の世界における1%の差は、私たちの想像を絶する暴力的なまでの差となって将来の資産に跳ね返ってきます。
ここで、具体的な数字を使って「複利のシミュレーション」をしてみましょう。
仮に、毎月5万円を、新NISAを使って20年間積み立てたとします(投資元本は合計1,200万円になります)。
投資の世界の平均的な利回りである「年利5%」で運用できたと仮定します。
【パターンA:ネット証券で優良ファンド(信託報酬0.1%)を買った場合】
実質的な利回りは4.9%(5% - 0.1%)となります。
20年後の最終的な資産額は、約2,020万円になります。
元本1,200万円に対して、約820万円の利益が出た計算です。
【パターンB:銀行の窓口で勧められたファンド(信託報酬2.0%)を買った場合】
実質的な利回りは3.0%(5% - 2.0%)に激減します。
20年後の最終的な資産額は、約1,640万円になります。
元本1,200万円に対して、約440万円の利益にとどまります。
いかがでしょうか。
毎月同じ5万円を払い、同じように世界経済が成長したにもかかわらず、手元に残るお金に【約380万円】もの絶望的な差が生まれてしまうのです。
380万円があれば何ができるでしょうか。
新車のミニバンをキャッシュで買うことができます。
老後のためのキッチンの全面リフォームや、お風呂のバリアフリー化が余裕でできます。
夫婦でヨーロッパを何周も巡るような豪華なクルーズ旅行にだって行ける金額です。
あなたは、銀行の窓口で「最初の一度だけ」相談に乗ってもらうために、将来の380万円を喜んで差し出せますか。
チリも積もれば山となると言いますが、投資における手数料はまさにその典型です。
これだけの金額をただ銀行の手数料として払い続けてしまうのは、あまりにももったいないことだと言わざるを得ません。
窓口で勧められやすい「銀行が儲かる商品」の見分け方
「なるほど、手数料が大事なのはわかった」
「でも、窓口で『手数料の安い商品をください』と言えば解決するのでは?」
そう賢くお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、現実はそう甘くありません。
銀行の窓口に相談に行くと、プロの目線からあなたにぴったりの商品を提案してくれますが、その提案される商品は、必ずしも「あなたにとって一番利益が出る商品」ではありません。
多くの場合、それは「銀行にとって一番利益(手数料)が出る商品」なのです。
窓口で「投資初心者です」と名乗った瞬間に、彼らが満面の笑みで勧めてくる商品には、いくつかの典型的なパターンがあります。
その代表格が、「テーマ型のアクティブファンド」と「毎月分配型ファンド」、そして「外貨建て保険」です。
まず「アクティブファンド」についてご説明します。
投資信託には大きく分けて「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。
インデックスファンドは、日経平均株価や世界の株式市場全体の動きに連動するように作られた、言わば「市場の平均点」を狙う商品です。
機械的に運用されるため、信託報酬が0.1%程度と非常に安く抑えられています。
一方、窓口で強く勧められる「アクティブファンド」は、プロのファンドマネージャー(専門家)が自らの足で企業を調査・分析し、「市場の平均点以上の成績(大儲け)」を狙いにいく商品です。
例えば「グローバルAI最前線ファンド」や「次世代バイオテクノロジー株ファンド」といった、いかにも将来性が高そうな魅力的な名前がついています。
専門家が手間暇をかけて運用するため、当然ながら信託報酬(維持費)が1.5%〜2.0%と非常に高く設定されています。
「プロが一生懸命運用して平均以上の成績を出してくれるなら、高い手数料を払う価値があるのでは?」と思ってしまいがちです。
しかし、残酷な事実をお伝えします。
過去数十年にわたる金融界の膨大なデータが証明しているのですが、「高い手数料を取るアクティブファンドの約8割〜9割は、安い手数料のインデックスファンドの成績に勝てない」のです。
プロがいくら頑張って良い銘柄を選んでも、毎年2%も引かれる手数料という「重り」を引きずりながら走っているため、身軽なインデックスファンドに追いつくことができないのです。
また、「毎月分配型ファンド」にも要注意です。
「年金にプラスして、毎月3万円のお小遣いが振り込まれるんですよ」という甘い言葉で、特にシニア層に爆発的に売れた商品です。
しかし、投資の利益が出ていない月は、あなたが最初に預けた元本(自分のお金)を削って「分配金」としてお返ししているだけのケース(特別分配金・タコ足配当と言います)が非常に多いのです。
自分のお金を崩して返してもらっているだけなのに、そこからさらに高い手数料を抜かれているという、まさに百害あって一利なしの商品です。
そして、NISAの相談に行ったはずなのに、いつの間にか「もっと安心な商品がありますよ」とすり替えられて提案されるのが「外貨建て保険」です。
「円安が進んでいるからドルを持った方がいい」「万が一の時の死亡保障もつきながら、銀行の金利よりはるかに高い利回りで資産が増えますよ」と、非の打ち所がない商品のように説明されます。
しかし、これも大いなる罠です。
保険という商品は、あなたが払った保険料から、まず「保険会社の莫大な経費(営業マンの給料や広告費など)」がガッツリと差し引かれ、その「残ったわずかなお金」だけが運用に回される仕組みになっています。
契約初期の手数料負担が異常に大きいため、契約から数年〜10年以内に解約すると、払ったお金の半分以下しか戻ってこない「元本割れリスク」を抱えることになります。
このように、銀行の窓口には、複雑で分かりにくいけれど「銀行側が儲かる(手数料がたくさん取れる)」商品がズラリと並んでいます。
複雑な名前や魅力的なテーマがついている商品ほど、中に高い手数料が隠されていると疑ってかかるくらいの慎重さが必要です。
「無料相談」の裏側と銀行員の実態

なぜ無料で何時間も相談に乗ってくれる?裏にあるカラクリ
銀行に行けば、駅前の一等地にそびえ立つ立派な建物があり、綺麗なロビーで丁寧にお茶を出され、金融の専門知識を持った行員さんが、あなたの悩みを何時間でも無料で聞いてくれます。
私自身も窓口を訪れた際、「こんなに至れり尽くせりで親切に教えてくれるのに、コンサルティング料が全部無料だなんて、銀行は本当にありがたい存在だ」と感動すら覚えたものです。
しかし、ここで一度、冷静になって大人のビジネスの視点で考えてみてください。
銀行は国営のボランティア団体ではありません。
利益を追求し、株主に還元しなければならない株式会社です。
行員さんたちの決して安くはないお給料、駅前の一等地に構える店舗の莫大な家賃、システム維持費、セキュリティ費用など、銀行を1日運営するだけでも、途方もないコストがかかっています。
そのコストを回収し、さらに莫大な利益を出すためには、当然ですが「どこかでお客様からお金をいただく」必要があります。
昔の銀行は、皆さんから集めた預金を企業に高い金利で貸し出し、その金利差(利ざや)で十分に儲けることができました。
しかし、長引く超低金利時代により、お金を貸してもほとんど利益が出ない時代になってしまいました。
そこで銀行が目をつけたのが、「投資信託や保険の販売による手数料ビジネス」への大転換です。
つまり、あなたに提供される「無料相談」というのは、決してあなたの資産を増やすためのボランティアではなく、高い手数料がかかる金融商品を販売し、銀行が手数料を稼ぐための「極めて高度な営業活動(セールス)」の時間に過ぎないのです。
スーパーマーケットの食品売り場で、ウインナーや高級なお肉を無料で試食させてくれるおばちゃんがいますよね。
あれは「美味しいお肉を無料で食べさせてあげたい」から配っているのではなく、「食べさせて購買意欲を高め、高いお肉を買ってもらうため」の販売促進活動です。
銀行の無料相談も、本質的にはこれと全く同じです。
「無料のサービスには、必ず裏に利益を回収するための目的がある」ということを、私たちはしっかりと認識しておかなければなりません。
「親身な銀行員」の裏にある厳しい営業ノルマ
ここまで読むと、「銀行員はみんな、客を騙そうとしている悪い人たちなのか?」と怒りを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、誤解しないでいただきたいのは、窓口で対応してくれる銀行員の皆さんは、決して根っからの悪人ではないということです。
むしろ、非常に優秀で真面目、身だしなみも完璧で言葉遣いも美しく、本当に親身になって私たちの将来設計(ライフプラン)の相談に乗ってくれる、素晴らしい人柄の方ばかりです。
「この人が言うなら間違いない」「私をカモにするような冷たい人には絶対に見えない」と、お客様がそう思ってしまうのも無理はありません。
実は、そこにより深い悲劇の構造が隠されています。
彼ら銀行員も、巨大な金融組織の一員(サラリーマン)であり、会社から課せられた信じられないほど厳しい「販売ノルマ(目標)」を背負って毎日を生きています。
私の知人に元銀行員がいますが、彼らの朝礼の様子は熾烈を極めるそうです。
「今月はこの投資信託を支店全体で〇〇千万円売らなければならない」
「本部のキャンペーン期間中だから、この外貨建て保険の契約を絶対に〇件取れ」
毎日のように数字で詰められ、ノルマを達成できなければ上司から厳しく叱責され、支店内の評価も下がり、自身の出世やボーナス、さらには希望する部署への異動にまで悪影響を及ぼします。
そのため、彼ら自身も「本当はこの商品は手数料が高すぎて、目の前の人のためにはならないかもしれない」と心の中で葛藤を抱えながらも、組織の論理と自身の生活を守るために、笑顔でその商品を勧めるしかないという過酷な実情があるのです。
つまり、銀行員という「人」が悪いのではありません。
「顧客の利益に反する商品を売らなければ成立しない、銀行というビジネスの構造」そのものが問題なのです。
だからこそ、私たちは担当者の「人柄の良さ」や「親切さ」を信じるのではなく、彼らが置かれているビジネスの構造を客観的に見極める冷徹な目を持つことが求められます。
一度相談に行ったら最後?断れなくなる心理的リスク

対面での無料相談には、経済的な損失に加えて、もう一つ非常に厄介な大きな落とし穴があります。
それは、日本人に特有の「断りにくい心理」を巧妙に突かれてしまうことです。
心理学の世界に「返報性の法則(へんぽうせいのほうそく)」という有名な言葉があります。
人は、他人から何か良いことをしてもらったり、親切にされたりすると、「自分もお返しをしなければならない」「申し訳ない」と無意識に感じてしまう生き物です。
銀行の窓口に行けば、あなたが特別なお客様であるかのように丁寧に迎え入れられます。
高級なコーヒーやお茶を出され、エアコンの効いた快適な個室で、プロがあなたのためだけにオリジナルの「ライフプラン・シミュレーション表」をカラー印刷で作ってくれます。
1時間、2時間と、あなたの家族の話や将来の夢に真剣に耳を傾けてくれます。
そこまでされた後に、いざ商品の契約書を出された時、あなたはきっぱりと断れるでしょうか。
「色々と無料で教えてくれてありがとう」
「でも商品は手数料が高すぎるから、やっぱり家に帰ってネット証券で自分でやります」
ほとんどの人は、罪悪感からこんな言葉は口に出せません。
「何時間も丁寧に説明してもらったのに、何も買わずに帰るのは人間として申し訳ない」
「せっかく私のためにここまで準備してくれたのだから、一つくらい小さな商品でも契約してあげよう」
そんな風に心が揺らいでしまうのが、義理人情を重んじる人間の弱いところです。
対面の営業のプロたちは、そうした顧客の心理の動きを熟知しています。
決して無理強いはしません。
しかし、真綿で首を絞めるように、断りきれない温かい雰囲気を作り出していくのです。
気づいた時には、全く望んでいなかった高額な手数料の契約書にサインをしてしまっていた、そんなケースは枚挙にいとまがありません。
この恐ろしい心理的リスクを回避する一番確実で、唯一の防衛策があります。
それは、そもそも「相手の土俵(窓口)に上がらないこと」なのです。
メガバンク以外なら安心?身近な金融機関の実情

地方銀行やゆうちょ銀行も構造は同じ
ネット上の「銀行は危険」という情報を見た方の中には、独自の解釈をしてしまう方がいらっしゃいます。
「ネットで危険だと言われているのは、東京にあるような大企業のメガバンクのことだろう」
「私が子どもの頃からお年玉を預けている地元の地方銀行や、地域のコミュニティを支えているゆうちょ銀行なら、私たちの味方だから安心なはずだ」
そのように考えてしまうお気持ちは、痛いほどよくわかります。
確かに、地域に密着した地方銀行や信用金庫、そして全国津々浦々にある郵便局(ゆうちょ銀行)は、親しみやすく、住宅ローンや年金の受け取りなど、生活の様々な場面でお世話になっている頼もしい存在です。
窓口のおばちゃんも顔見知りで、世間話に花が咲くこともあるでしょう。
しかし、非常に残念なお知らせですが、こと「投資信託や保険の販売」というビジネス領域においては、メガバンクも地方銀行も、ゆうちょ銀行も、その根本的な構造は全く同じです。
対面の窓口(実店舗)を持ち、そこに人を配置して相談業務を行っている以上、そこには莫大な「人件費」と「店舗維持費」がかかっています。
それを回収するために、窓口に来たお客様に「手数料の高い商品を販売しなければならない」という宿命からは、どんなに地元密着の金融機関であっても逃れることはできません。
過去には、全国の郵便局の窓口で、高齢者に対して極めて不適切な保険営業(ノルマ達成のために不利益な乗り換えをさせるなど)が組織的に行われ、社会問題にまで発展した事件をご記憶の方も多いでしょう。
「身近な存在だから」「親切だから」という理由と、彼らが「利益を追求するビジネス組織であること」は別問題なのです。
さらに言えば、地方銀行の場合は、メガバンクに比べて開発力や規模が劣るため、選べる投資信託のラインナップが極端に少なく、良心的な手数料の商品が「そもそも一つも用意されていない」という悲惨なケースも珍しくありません。
「昔から知っている銀行だから」という感情と、「自分の大切な資産を増やすための最適な手段」とは、きっちり分けて冷静に判断する必要があります。
すでに銀行でNISA口座を作ってしまった場合の対処法

まだ間に合う!口座開設のキャンセルや金融機関変更の手順
この記事をここまで読んでくださった方の中には、血の気が引く思いをしている方もいらっしゃるかもしれません。
「どうしよう、実は昨日、銀行の窓口でNISA口座の開設を申し込んで、書類にサインしてきてしまった」
「すでに銀行でNISAを始めていて、毎月何万円も積み立てているけれど、もう手遅れなのだろうか」
焦る気持ちはわかりますが、どうか深く深呼吸をして、安心してください。
決して手遅れではありません。
まだ十分に間に合います。
まず、【まだ投資信託を買い付けていない、口座開設の申し込み手続きをしただけの段階】の方です。
この場合は、すぐに手続きをした銀行の担当者に電話でキャンセルの連絡を入れてください。
「申し訳ないですが、家族と話し合った結果、今回はNISAの口座開設自体を見送ることにしました」
理由はこのように伝えれば十分です。
少し引き止められるかもしれませんが、強い意志を持ってキャンセルを申し出てください。
口座が開設される前であれば、多くの場合、無傷で手続きを取り消すことができます。
次に、【すでに口座が開設され、運用がスタートしてしまっている(商品の買い付けが終わっている)段階】の方です。
「もう一生、この銀行で高い手数料を搾取され続けるしかないのか」と絶望する必要はありません。
NISA口座は、「1年単位」で他の金融機関へ乗り換える(金融機関変更をする)ことが、国の制度としてしっかりと認められています。
今年(現在の年)の非課税枠をすでに使ってしまっている場合は、今年の分は今の銀行でそのままにしておき、「翌年の1月」から、新しく選んだネット証券でNISAをリスタートすることができます。
乗り換えの手順は以下の通り、実はとてもシンプルです。
ステップ1、現在の銀行に連絡します。
今の銀行の窓口かコールセンターに連絡し、「来年からNISAの金融機関を変更したいので、『勘定廃止通知書(かんじょうはいしつうちしょ)』を発行してください」と伝えます。
(※毎年10月1日以降に翌年分の変更手続きが可能になります)
ステップ2、ネット証券で口座開設の申し込みをします。
SBI証券や楽天証券などのネット証券で、新しく総合口座とNISA口座の開設申し込みをスマホから行います。
ステップ3、書類をネット証券に郵送します。
ネット証券での申し込みの際、「他社からの乗り換え」を選択すると、後日ネット証券から必要書類が送られてきます。
そこに、銀行から届いた「勘定廃止通知書」を同封して返送します。
ステップ4、手続き完了です。
税務署での審査が完了すれば、無事に翌年からネット証券での新NISAデビューとなります。
※なお、今の銀行ですでに買ってしまった投資信託については、ネット証券にそのまま移す(移管する)ことはできません。
焦ってすぐに売る必要はなく、今の銀行の口座に入れたまま(運用を続けながら)放置しておくか、利益が出ているタイミングで売却して現金化し、その資金をネット証券での新しい積み立てに回すという方法が一般的です。
一度銀行で始めてしまったからといって、罪悪感を感じたり、一生そこでペナルティを払い続けたりする必要は全くありません。
真実に気づいた「今」が、軌道修正のための最高のタイミングです。
電話を一本かける少しの勇気と手間はかかりますが、将来の「数百万円」という途方もない金額を守るための大切な防衛行動だと考えて、ぜひ今日から行動を起こしてみてください。
対面サポートなしで大丈夫?初心者のネット証券デビュー

スマホ操作が不安でも「銀行窓口」をやめるべき理由
「ネット証券が手数料の面で圧倒的に有利なのは、痛いほどよくわかった」
「でも……やっぱりスマホやパソコンの操作が苦手で、自分一人で設定までできるか本当に不安」
「誰にも聞けないネット証券で、もし画面の操作を一つ間違えて、とんでもない借金を背負ったりしたらどうしよう」
そうしたITへの苦手意識や漠然とした恐怖感から、高い手数料を払ってでも「安心できる対面の窓口」を選ぼうとするお気持ちは、痛いほどよくわかります。
私自身も決して機械操作が得意なタイプではありません。
初めてネット証券の口座を開設しようとスマホの画面を開いた時は、「特定口座?」「源泉徴収あり?」「分配金再投資?」と、まるで宇宙人の言葉か呪文のように見えて、何度も心が折れそうになりました。
しかし、ここでお伝えしたい最も重要な真実があります。
それは、ネット証券の操作であなたが苦労するのは、「一番最初の初期設定の時だけ」だということです。
本人確認書類(マイナンバーカードなど)をスマホのカメラで撮影して口座を開設し、毎月の積立金額と、買う商品を設定する。
この「最初の1〜2時間程度のハードル」さえなんとか乗り越えてしまえば、あとは毎月、指定した銀行口座から自動的にお金が引き落とされ、勝手に投資信託が買い付けられていきます。
つまり、設定完了後はスマホの画面を見ることすら、ほとんどなくなるのです。
完全に「ほったらかし」で資産形成が自動運転で進んでいきます。
例えるなら、「自転車の練習」や「初めてのスマホへの乗り換え」のようなものです。
最初は何度も転んで痛い思いをしたり、文字の打ち方がわからなくてイライラしたりしますが、一度乗れるように(使えるように)なってしまえば、あとは一生涯、あなたを快適に目的地まで運んでくれる最高のツールになります。
最初の数時間の「初期設定の苦労」から逃げるために、これから20年も30年も、数百万円という高い手数料のペナルティを銀行に払い続けるのは、どう考えてもあまりにも割に合いません。
それに、今のネット証券は一昔前とは違い、初心者向けに画面が見やすく、Amazonや楽天でネットショッピングをするのと同じくらい簡単に操作できるように進化しています。
さらに心強いことに、今はYouTubeや個人のブログで、「SBI証券(または楽天証券)の口座開設から買い方まで、実際のスマホ画面を見せながら完全解説!」といった素晴らしいチュートリアル動画が無数に存在しています。
それを別のスマホやタブレットで再生しながら、一時停止ボタンを押しつつ、同じように手元の画面をタップしていけば、どんなに機械が苦手な初心者の方でも、絶対に、確実に、一人で設定を完了させることができます。
あなたは決して一人ではありません。
銀行に行かずにNISAを始める!初心者のための具体ステップ

窓口という「頼れる場所」を自ら断ち切り、これから一人で荒波に漕ぎ出そうとしているあなたは、今「じゃあ一体、どこで何を買えばいいの?」と途方に暮れてしまっているかもしれません。
しかし、安心してください。
今の時代、初心者が迷わずに正解にたどり着き、安全にNISAを始めるための道筋(ロードマップ)は、すでに極めてシンプルに確立されています。
以下のステップに沿って進めるだけで、銀行の窓口で何時間も迷わされるよりも、はるかに堅実な資産形成の土台が完成します。
ステップ1として、証券会社は「SBI証券」か「楽天証券」の2択から選びます。
ネット証券はたくさんありますが、迷う必要はありません。
「SBI証券」か「楽天証券」、このどちらかを選べば間違いありません。
この2社は日本で最も多くのユーザーに選ばれているメガネット証券であり、手数料の安さ、商品の豊富さ、システムの安定性において双璧をなしています。
選び方の基準は非常にシンプルです。
「普段から楽天市場で買い物をしたり、楽天カードを使って楽天ポイントを貯めている」という方は、『楽天証券』を選びましょう。
投資信託を買うことでさらにポイントが貯まりやすくなります。
「楽天サービスはあまり使っていない、とにかく業界No.1の最大手で、将来性の高いところがいい」という方や、三井住友カード等をお持ちの方は、『SBI証券』を選びましょう。
どちらを選んでも100点満点の正解ですので、直感でパッと決めてしまって大丈夫です。
ステップ2として、買う商品は「全世界株式(オルカン)」を選びます。
証券会社が決まったら、次は「何を買うか(どの投資信託にするか)」です。
数千種類もある商品の中から選ぶのは不可能に思えますが、実はこれも答えはほぼ一つに絞られています。
「全世界株式(通称:オルカン)」と呼ばれる、世界中の約3000社の企業の株に、これ一本で丸ごと分散して投資できるインデックスファンドを選ぶのが、初心者の王道中の王道です。
具体的には『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』という商品名を探して、それを設定してください。
この商品は、世界経済全体が成長すればその恩恵をしっかりと受けることができ、仮にどこかの国が不景気になっても、他の国の成長でカバーするという「究極のリスク分散」が効いています。
しかも、信託報酬(維持費)が年間0.05775%(※記事執筆時点)という、銀行の商品とは比べ物にならない驚異的な安さです。
一部で人気の「S&P500(アメリカの主要500社)」も素晴らしい商品ですが、アメリカ一国に集中するよりも、全世界に分散する方が、より初心者向けの「ほったらかし投資」に適していると多くの専門家が推奨しています。
ステップ3として、毎月「無理のない金額」で淡々と積み立てます。
証券会社を選び、オルカンを設定したら、あとは毎月の積立金額を決めるだけです。
最初は「月1万円」や、もっと少額の「月5千円」からでも全く構いません。
重要なのは、途中で相場が暴落してニュースが大騒ぎしても、絶対に設定を解除せず、ただひたすら同じ金額で毎月買い続けること(ドルコスト平均法)です。
この3つのステップを完了させるだけで、あなたは銀行の窓口でプロの営業マンを相手に消耗することなく、世界の経済成長という最強のエンジンを味方につけた、最も理にかなった資産形成をスタートさせることができるのです。
新NISA初心者が銀行窓口で相談するのが危険な理由まとめ

まとめ
- 新NISAを銀行の窓口で相談するのは高額な手数料で資産が目減りするため危険
- 無料相談は手数料の高い商品を販売するための銀行の営業活動の場
- 親身に見える銀行員も会社からの販売ノルマを達成しなければならない現実
- メガバンクだけでなく地域密着の地方銀行やゆうちょ銀行もビジネスモデルは同じ
- 対面のプレッシャーや親切への恩義から不要な契約を結ばされるリスク
- すでに銀行で口座を作っても所定の手続きでネット証券への変更が可能
- 最初のスマホ操作に苦労してでも数十万円の手数料を節約する価値は十分にある
- SBI証券か楽天証券を選び全世界株式のインデックスファンドを買うのが最適解