「話題の小説を買ってみたけれど、最初の数ページで挫折してしまった」
「文字がびっしり詰まったページを見ると、読む前から眠くなってしまう」
そんな経験はありませんか?
書店に行くと、平積みされているベストセラーや、帯に「大号泣!」と書かれた分厚い本たちが、まるで「これを読めない人間は教養がない」と無言の圧力をかけてくるように感じてしまう……。
実はこれ、かつての私自身が抱いていた感情そのものです。
私自身、今でこそこうして文章を書く仕事をしていますが、学生時代は筋金入りの「活字アレルギー」でした。
夏休みの宿題である読書感想文は、あらすじだけを読んで書いた気になっていましたし、友人から「これ面白いよ」と渡された本も、最初の1章すら読み切れずに返却期限が来てしまい、気まずい嘘をついて返したことも一度や二度ではありません。
「自分には読書の才能がないんだ」
「長い文章を集中して追う脳の構造になっていないんだ」
そう思い込んでいました。しかし、それは大きな間違いでした。
読書が続かないのは、あなたの集中力や知能の問題ではなく、単純に「本の選び方」と「入り口」が間違っているだけなのです。
いきなり分厚い長編小説(しかも上下巻!)に挑むのは、運動不足の人が準備体操なしでフルマラソンを走ろうとするようなものです。それでは膝を壊して(心が折れて)当然です。
必要なのは、まずは近所の散歩から始めること。つまり、「薄くて、読みやすくて、絶対に面白い本」から始めることなのです。
この記事では、かつて活字を見ると眠くなっていた私が、実際に読んで「えっ、もう終わり?」「気づいたら読み終わっていた」という衝撃を受けた、ページ数が少なくて読みやすい小説を厳選しました。
単なる名作紹介ではなく、「活字嫌いの脳にどう優しいか」という視点で徹底的に解説します。
まずはリハビリ感覚で、薄い本から「1冊読み切った!」という達成感を味わってみませんか?
その小さな一歩が、あなたの世界を大きく広げる鍵になるはずです。
ポイント
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200ページ未満かつ会話文が多い作品を選ぶ
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最初の1行から物語が動き出す「導入が早い本」を重視
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隙間時間には「ショートショート」、没入感なら「連作短編」
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有名作家でもサクッと読めて大人も満足できる名作はある
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通勤の往復(計1時間)で完結するボリューム感が目安
活字嫌いこそ「薄い本」から始めるべき3つの理由

「ページ数が少ない本なんて、子供向けみたいで恥ずかしい」
「せっかくお金を出して買うなら、長く楽しめる分厚い本の方がお得じゃないか?」
もしそう思っているなら、まずはその固定観念を捨てましょう。
実は、活字嫌いを克服し、読書を一生の趣味にするためにこそ、最初は戦略的に「薄い本」を選ぶべき、論理的かつ心理的な理由があります。
「完読」という達成感が読書への自信になる
読書に苦手意識を持ってしまう最大の原因は、過去の「挫折体験(トラウマ)」です。
「面白そうだな」と思って買った本を、半分も読まずに机の端に積み上げてしまう(いわゆる「積読」)。
その背表紙を見るたびに、私たちは無意識のうちに「ああ、また無駄遣いをしてしまった」「自分には最後までやり遂げる根気がないんだ」という、微細な自己否定のストレスを感じ続けています。
この「負のループ」こそが、次の本を手に取るハードルを上げているのです。
このネガティブな感情を払拭するために必要なのは、精神論や速読術の習得ではなく、単純な「成功体験」です。
「最後まで読めた!」
「1冊読み切った!」
「最後のページの『完』という文字を見た!」
このシンプルな達成感こそが、脳内にドーパミンを放出させ、「読書=快感」という新しい回路を作ります。
200ページ以下の本であれば、読むのが早い人なら1〜2時間、ゆっくりペースの方でも通勤時間の数日分で確実に読み切ることができます。
読み終わった本が「インテリア(罪悪感の象徴)」としてではなく、あなたの知肉となった「読破した本(勲章)」として本棚に並んでいく喜び。
まずはこの小さな成功を積み重ねて、読書への自信を取り戻していくことが、遠回りのようでいて最短のルートなのです。
「ページ数が少ない=内容が薄い」は間違い

「薄い本なんて、内容も薄っぺらいんじゃないの?」と疑っている方もいるかもしれません。
しかし、声を大にして言いたいのですが、小説の面白さと本の厚さは決して比例しません。
むしろ、ページ数が少ない名作というのは、作家が言葉を極限まで選び抜き、無駄な描写を削ぎ落とした結果、濃密なエッセンスだけが残った結晶のような作品であることが多いのです。
余計な「つなぎ」の場面がないため、一行一行の密度が濃く、読者の想像力を強烈に刺激します。
これを映画に例えるなら、「3時間の超大作映画」と「90分の傑作サスペンス映画」の違いのようなものです。
3時間の映画も素晴らしいですが、中だるみしたり、途中でトイレに行きたくなったりすることもありますよね。
一方で、90分の映画は展開がスピーディーで、観終わった後に「すごいものを見た…」と呆然とするような衝撃を残すことがよくあります。
小説も同じです。
短くても、大人が読んで十分に満足できる、読み応えのある作品は山ほどあります。
むしろ短いからこそ、中だるみすることなく、最初から最後までクライマックスのような密度で楽しめるのが、薄い本の大きな魅力なのです。
飽きる前に物語が終わる「時間対効果(タイパ)」の良さ
活字嫌いの方の多くは、「飽きっぽい」という性格を気にされていることがあります。
物語の中盤で展開が遅くなったり、難解な情景描写が続いたりすると、そこで「もういいや」と興味が失せてしまうのですね。
それなら、「飽きる前に読み終わってしまう本」を選べば良いのです。
ページ数が少ない小説は、構造上、展開がスピーディーにならざるを得ません。
登場人物が悩み続ける暇もなく事件が起き、解決へと向かっていきます。
「ちょっと飽きてきたかな?」「この先どうなるんだろう?」と不安になる隙を与えることなく、怒涛の勢いで結末(オチ)へと雪崩れ込みます。
常に物語が動いている新鮮な気持ちのまま、ラストページまで駆け抜けることができる。
これは、現代人の忙しいライフスタイルにも合致しています。
動画を倍速で見るように、「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する今の時代において、短時間で良質な物語体験が得られる薄い小説は、最も合理的なエンターテインメントと言えるかもしれません。
失敗しない!読みやすい「薄い小説」を見分ける4つの基準

では、実際に書店やネットショップで本を選ぶ際、どのような基準で探せば良いのでしょうか?
単に「ページ数が少ない」というだけでは不十分です。
中には「ページ数は少ないけれど、難解な哲学書」や「実験的すぎて意味不明な小説」も存在するからです。
活字嫌いの方が「これなら読める!」「読んでよかった!」と思える本を見つけるための、4つの具体的なフィルターをお教えします。
【視覚的ハードル】「会話文」と「余白」の多さをチェック
書店で本を手に取ったら、まずは中身をパラパラとめくってみてください。
その時、ページ全体を見て「黒い」と感じたら、その本はそっと棚に戻しましょう。
文字がびっしりと詰まっていて余白が少ないページは、視覚的な圧迫感が強く、読む前から脳が「これは仕事だ」「勉強だ」「解読しなければならない」と拒絶反応を示してしまいます。
逆に、おすすめなのは「白い」ページです。
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改行が多く、リズムが良い
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行間が広く、目が滑らない
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会話文(「」で囲まれた文章)が多い
こうした特徴を持つ本は、視線移動がスムーズです。
特に会話文が多い小説は、地の文(状況説明や心理描写)が最小限に抑えられているため、まるでYoutubeで対談動画を見ているような感覚で、脳に負荷をかけずに物語が入ってきます。
「読む」というより「聞く」に近い感覚で楽しめるのです。
見た目の印象はとても大切です。
「これなら今の自分でも読めそうだな」と、直感的に楽そうに見える本を選ぶのが、挫折を防ぐ第一歩です。
【スタートダッシュ】1ページ目から「事件」が起きるか
活字に慣れていない方にとって、最も高いハードルとなるのが「導入部分(つかみ)」です。
物語の世界観を説明するための長い情景描写(天候の話や、街の歴史など)や、家系図が必要なほどの複雑な登場人物紹介が続くと、物語が動き出す前に本を閉じたくなってしまいます。
「いつ面白くなるの?」と我慢する時間は、活字嫌いにとっては苦行でしかありません。
ですので、「1ページ目から事件が起きる本」を選びましょう。
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冒頭の1行目で死体が転がっていた
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いきなり恋人に振られるシーンから始まった
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主人公が絶体絶命のピンチに陥っている
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謎めいた手紙が届くところから始まる
このように、最初からトラブルや謎が発生している作品は、読者を強制的に物語の世界へと引きずり込みます。
「えっ、どうなっちゃうの?」「犯人は誰?」という興味(フック)が最初にあるだけで、ページをめくる手は自然と止まらなくなります。
我慢して読む時間をゼロにするために、スタートダッシュが良い作品を選んでください。
【難易度】辞書不要!現代語で書かれているか

「薄い本」の代表格として、夏目漱石の『こころ』や太宰治の『走れメロス』などの文庫本を思い浮かべる方もいるかもしれません。
確かにこれらは素晴らしい名作であり、ページ数も手頃ですが、活字嫌いのリハビリとしては、明治・大正時代の作品は避けるのが無難です。
理由はシンプルで、言葉遣いが現代とは異なり、漢字も旧字体だったりするためです。
「薄いけれど難しい」本は、1ページ進むのに時間がかかり、意味を調べるためにスマホを手に取り、そのままSNSを見てしまう……という脱線パターンの原因になります。
おすすめなのは、現代を舞台にした作品や、「ライト文芸」「キャラクター文芸」と呼ばれるジャンルの小説です。
これらは私たちが普段LINEや会話で使っている言葉で書かれており、辞書を引く必要がありません。
スラスラと頭に入ってくる読みやすい文章の作家を選ぶことが、完読への近道です。
【ボリューム】「ページ数」ではなく「読む時間」で選ぶ
最後に、ボリュームの目安です。
「ページ数」と言われてもピンとこない場合は、「読む時間」に換算して選んでみましょう。
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200ページ前後の小説: 映画1本分(約2時間)
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ショートショート: カップラーメンを待つ時間(3〜5分)
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連作短編の1話: アニメ1話分(約20〜30分)
あなたのライフスタイルに合わせて選んでみてください。
例えば、「通勤時間が片道30分だから、往復で2話分読み切れる連作短編集がいいな」とか、「寝る前の数分だけ読書したいから、1話完結のショートショートにしよう」といった具合です。
自分の生活リズムの中に、無理なく収まるサイズの本を選ぶことが、読書を「特別なイベント」ではなく「日常の一部」にするコツです。
あなたに合うのはどっち?「短編集」と「ショートショート」の違い

「短い小説」を探していると、「短編集」と「ショートショート」という言葉によく出会います。
これらは似ていますが、読書体験としては別物です。
自分の性格や読むシチュエーションに合わせて、どちらが合うかを見極めましょう。
ショートショート:5分で読める「超・短編」
特徴:
数ページ、時には見開き1ページだけで物語が完結します。
物語の背景説明などを極限まで省き、アイディアと切れ味だけで勝負するジャンルです。
最大の特徴は、最後に必ず「アッ」と驚くような「オチ(結末)」が用意されていることです。
おすすめな人:
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「スキマ時間」を埋めたい人: 信号待ち、レジ待ち、電車の一駅分など、数分の隙間時間に読めます。
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「やめ時」を失うのが怖い人: 長編小説だと続きが気になりすぎて、夜更かしして仕事に支障が出るのが心配な人に最適です。
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「達成感」を何度も味わいたい人: 1冊で20回も30回も「読み切った」という快感を味わえます。
連作短編集:章ごとに区切れるが、全体で一つの物語
特徴:
1話あたり30分〜1時間程度で読める中編がいくつか収録されています。
それぞれの話は独立して読めますが、同じ探偵が登場したり、同じカフェが舞台だったりと、各話がリンクしており、全体を通して読むと大きな一つの流れが見えてきます。
おすすめな人:
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「余韻」を楽しみたい人: 数ページで終わってしまうのは少し物足りない、ドラマのように1話ずつじっくり楽しみたい人に向いています。
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「キャラクター」を好きになりたい人: 話が進むにつれて登場人物への愛着が湧くため、没入感と読みやすさのいいとこ取りができます。
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「区切り」をつけたい人: 章ごとに完全に話が終わるので、「今日はここまで」と本を閉じやすいのがメリットです。
【絶対に挫折させない】活字嫌いにおすすめのページ数が少ない小説15選

お待たせしました。
ここからは、上記の条件をクリアした、活字嫌いの方にこそ読んでほしい「絶対に挫折させない」おすすめ小説を15冊ご紹介します。
どれもページ数が少なく、かつ抜群に面白い作品ばかりです。
それぞれの作品について、「なぜ読みやすいのか」というポイントも解説しましたので、あなたの好みに合いそうなものを探してみてください。
【没入感重視】続きが気になってページをめくる手が止まらないミステリー
1. 『ルビンの壺が割れた』 宿野かほる
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ページ数目安: 約170ページ
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完読時間の目安: 休日の一気読みで1.5時間
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なぜ読みやすい?:
この小説、なんと全編が「Facebookのメッセージのやり取り」だけで構成されています。
「お久しぶりです。突然のメッセージ、驚かれたことと思います」という書き出しから始まり、かつての恋人同士がメッセージを送り合う形式なので、小説というより「他人のチャットログ」を覗き見している感覚でスラスラ読めます。
しかし、中盤からの展開は戦慄必至。最初は美しい思い出話だったものが、徐々に不穏な空気を帯び始め、ラストには「えっ!?」と叫んでしまうような衝撃が待っています。
文字数も少なく、余白だらけなので、最短記録で読破できる一冊です。
2. 『殺した夫が帰ってきました』 桜井美奈
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ページ数目安: 約250ページ(文字はスカスカで読みやすいです)
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完読時間の目安: 通勤3日分
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なぜ読みやすい?:
タイトル一発で「どういうこと?」と興味を惹かれませんか?
物語は、主人公の女性が夫を殺して崖から突き落とすシーンから始まります。しかし数日後、その夫が何食わぬ顔で「ただいま」と帰ってくるのです。
「彼は幽霊?」「それとも私が殺したのは別人?」「記憶喪失?」
読者が抱く疑問を、主人公も同じように抱きながら進むため、感情移入がしやすく、続きが気になって仕方がなくなります。
シリアスな設定ですが、どこかユーモアのある軽いタッチ(ブラックコメディ的)で描かれているため、怖すぎず、サクサク読めるエンタメ作品です。
3. 『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂幸太郎
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ページ数目安: 文庫版 約320ページ(テンポが良いので体感は半分です)
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完読時間の目安: 通勤4日分
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なぜ読みやすい?:
エンタメ小説界のトップランナー、伊坂幸太郎作品の入門編として最適です。
「嘘を見抜く名人」「スリの天才」「演説の達人」「正確な体内時計を持つ女」という、漫画のような特殊能力を持った4人が銀行強盗をする話です。
この作品の最大の魅力は、登場人物たちの「会話」のお洒落さと面白さです。
シリアスな銀行強盗の最中でも、彼らは軽口を叩き合い、脱線した雑談を繰り広げます。そのウィットに富んだ会話劇を読んでいるだけで楽しく、難しい漢字や表現もほとんど出てきません。
映画化もされていますが、原作の「文章のリズム」の良さは格別です。
4. 『満願』 米澤穂信
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ページ数目安: 短編集(1話あたり約40〜50ページ)
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完読時間の目安: 1日1話で1週間
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なぜ読みやすい?:
「このミステリーがすごい!」で史上初の三冠を達成した、ミステリー短編集の最高傑作の一つです。
交番勤務の警察官、海外で働くビジネスマン、売れないフリーライターなど、様々な立場の人々が直面する「人生の謎」と「心の闇」が描かれています。
少し重厚な雰囲気(静かでシリアス)ですが、文章の質が極めて高く、無駄が一切ありません。
派手なトリックよりも、人間の心理の怖さを描いた作品が好きなら、間違いなくハマります。
1話読み切るごとに、極上の映画を一本観たような、深い余韻に浸れる大人向けの一冊です。
【視覚的に楽】会話中心でサクサク読めるエンタメ小説
5. 『阪急電車』 有川浩
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ページ数目安: 約260ページ
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完読時間の目安: 往復の通勤電車で2日
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なぜ読みやすい?:
兵庫県を走る、片道たった15分のローカル線「阪急今津線」を舞台にした連作短編集です。
「宝塚駅」から「西宮北口駅」まで、たった8駅の間に起こる、乗客たちの小さなドラマを描いています。
婚約者を寝取られたOL、暴れる孫に手を焼くおばあちゃん、PTAの付き合いに疲れた主婦など、誰もが共感できる悩みを持つ人々が、電車内で少しずつ関わり合い、背中を押し合います。
有川浩さんの文章は非常に映像的でわかりやすく、何より「読後感の良さ」が抜群です。
嫌なことがあった日に読むと、心が洗われて前向きになれる。そんな「心の処方箋」のような小説です。
6. 『キケン』 有川浩
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ページ数目安: 約320ページ
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完読時間の目安: 週末にまとめて3時間
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なぜ読みやすい?:
同じく有川浩作品ですが、こちらは「爆笑必至」の青春コメディです。
とある大学の「機械制御研究部(通称:キケン)」を舞台にした、理系男子たちの暴走ストーリー。
文化祭でラーメン屋をやるために命をかけたり、火薬実験でボヤ騒ぎを起こしたりと、やっていることは完全に「おバカ」なのですが、その熱量と友情に引き込まれます。
とにかく会話のテンポが良く、漫才のような掛け合いが続きます。
電車の中で読むと吹き出してしまう危険性があるため、家で読むことを強くおすすめします。「活字を読んで声を出して笑う」という体験をぜひ味わってください。
7. 『君の膵臓をたべたい』 住野よる
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ページ数目安: 約320ページ
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完読時間の目安: 涙を拭く時間を含めて4時間
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なぜ読みやすい?:
タイトルはホラーのようですが、中身は直球かつ純度の高い青春ストーリーです。
クラスの人気者で重い病気を患う少女と、地味で友達のいない「僕」の、期限付きの交流を描いています。
ライトノベルと一般文芸の中間のような文体で書かれており、非常に読みやすいのが特徴。
映画版も大ヒットしましたが、原作小説では主人公の「僕」の内面(少しひねくれた視点)がより深く描かれており、ラストシーンのカタルシス(感情の解放)は小説版の方が強烈かもしれません。
普段本を読まない中高生から大人まで、幅広く支持される「泣ける本」の鉄板です。
8. 『時をかける少女』 筒井康隆
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ページ数目安: 約200ページ
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完読時間の目安: 1.5時間
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なぜ読みやすい?:
アニメ映画やドラマで誰もが知る名作ですが、原作小説を読んだことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。
実は原作は驚くほど短く、スピーディーです。
昭和の作品なので、学校の雰囲気などに少しレトロな香り(ノスタルジー)がありますが、それが逆に新鮮に感じられます。
アニメ版とは結末や設定が少し異なるため、「原作はこうだったのか!」という発見を楽しむことができます。
「SF御三家」と呼ばれる巨匠・筒井康隆の文章を、一番手軽に味わえる、コスパの良い教養本でもあります。
【大人も満足】有名作家だけど実は「薄くて深い」名作
9. 『コンビニ人間』 村田沙耶香
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ページ数目安: 約160ページ
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完読時間の目安: 2時間
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なぜ読みやすい?:
芥川賞受賞作と聞くと「難しそう」と身構えてしまうかもしれませんが、この作品は驚くほど読みやすいです。
主人公は、18年間コンビニのアルバイトだけで生きてきた女性。彼女は「普通」の感情がよくわからず、コンビニのマニュアル通りに動いている時だけ「世界の部品」になれたような安心感を得ます。
淡々とした文体で描かれる主人公の視点は、どこかロボットや宇宙人のようで、感情移入というよりは「観察」するような感覚で読めます。
ページ数は非常に少ないですが、読み終わった後に「普通とは何か?」「狂っているのは彼女か、社会か?」と深く考えさせられる、強烈なインパクトを残す作品です。
10. 『キッチン』 吉本ばなな
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ページ数目安: 約200ページ
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完読時間の目安: 静かな夜に2時間
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なぜ読みやすい?:
世界30カ国以上で翻訳され、愛され続けているベストセラーです。
唯一の家族だった祖母を亡くし、天涯孤独となった少女が、不思議な親子との共同生活を通して、少しずつ再生していく物語です。
吉本ばななさんの文章は、論理的というよりは感覚的で、詩のように美しいのが特徴。
台所の冷蔵庫の音、夜の空気の匂い、温かいスープの味。そうした五感に訴えかける描写が心地よく、心が疲れている時に読むと、じんわりと染み渡ります。
難しい言葉は一切ないのに、なぜか泣けてくる。大人のための絵本のような小説です。
11. 『変身』 フランツ・カフカ
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ページ数目安: 約100〜150ページ(出版社による)
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完読時間の目安: 1時間
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なぜ読みやすい?:
「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにかの拍子に気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した。」
あまりにも有名なこの書き出し。
「海外文学なんて無理!」と思うかもしれませんが、実はストーリー自体はシンプルで、ページ数も非常に薄いです。
毒虫になった男と、それに困惑する家族のドタバタ劇とも読めますし、人間の冷酷さを描いた悲劇とも読めます。
そのシュールで不条理な世界観は、一度ハマると癖になります。「カフカを読んだことがある」というのは、ちょっとした自信にもなるはずです。
12. 『博士の愛した数式』 小川洋子
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ページ数目安: 約280ページ
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完読時間の目安: 3時間
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なぜ読みやすい?:
交通事故により、記憶が80分しか持たなくなった元数学者の「博士」と、彼の家に派遣された家政婦、そしてその息子「ルート」の物語。
「数学なんて大嫌いだ」という人にこそ読んでほしい一冊です。
ここで描かれる数学は、テストのための計算ではなく、世界を記述する美しい言語として描かれています。
大きな事件は起きませんが、博士の不器用な優しさと、数式の美しさが静かに重なり合い、心が洗われます。
映画のように美しい情景が脳裏に浮かぶ、静かで読みやすい名作です。
【隙間時間のお供】1話5分で完結するショートショート傑作選
13. 『ボッコちゃん』 星新一
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ページ数目安: 約330ページ(全50編収録)
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完読時間の目安: 1話あたり5分
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なぜ読みやすい?:
「ショートショートの神様」星新一の代表作にして最高傑作です。
近未来、宇宙、ロボット、悪魔などを題材にした不思議な話が、なんと50編も詰まっています。
どの話も数ページで終わり、最後に必ずブラックユーモアの効いた、鮮やかなオチがあります。
昭和の作品ですが、古さを全く感じさせない普遍的な面白さがあります。
トイレに入っている間、お湯が沸くまでの間など、ほんの少しの時間があれば1話読めてしまうので、「読書の入門書」としてこれ以上のものはありません。
14. 『ショートショートの広場』 編・阿刀田高
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ページ数目安: シリーズ多数
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完読時間の目安: 1話あたり3分
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なぜ読みやすい?:
講談社の小説誌で一般公募された、優秀なショートショートを集めたアンソロジー(作品集)です。
プロの作家だけでなく、アマチュアの作品も多く含まれているため、発想が自由で、荒削りながらもパワーのある作品に出会えます。
「次はどんな話かな?」「怖い話かな?笑える話かな?」と、福袋を開けるようなワクワク感で読み進められます。
気に入った話だけ読んで、つまらないと思ったら飛ばしても全く問題ない、自由度の高さも魅力です。
15. 『5分後に意外な結末』シリーズ
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ページ数目安: 約300ページ
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完読時間の目安: 1話5分
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なぜ読みやすい?:
元々は小中学生の「朝読書」向けに作られたシリーズですが、その完成度の高さから大人にも大人気となりました。
「恐怖」「感動」「笑い」などテーマ別に分かれており、文字も大きく、漢字にはルビ(ふりがな)も振ってあります。
「子供向けでしょ?」と侮るなかれ。大人でも予想できないどんでん返しが満載です。
疲れた脳でもスルスル読めるので、仕事終わりのリラックスタイムに最適。活字リハビリの最初の一歩として、最もハードルが低い本と言えるでしょう。
買った本を確実に「完読」するためのちょっとしたコツ

最後に、選んだ本を確実に読み切るための、ちょっとしたマインドセット(心構え)をお伝えします。
真面目な方ほど陥りやすい罠を避けるだけで、読書はもっと気楽なものになります。
「つまらない」と思ったら飛ばし読みしてもいい
読書において、「一字一句すべての文字を目で追わなければならない」という法律はありません。
もし、読んでいて「この風景描写、長いな」「理屈っぽい説明が続いて退屈だな」と感じたら、そこは思い切って飛ばしてしまいましょう。
面白そうな会話文や、物語が動きそうなところだけを拾い読みするのも、立派な読書技術(スキミング)です。
私自身、ミステリー小説でもトリックの解説部分が物理学的すぎて難しいと感じたら、ざっくり読み飛ばして「犯人の動機」だけを読むことがよくあります。
それでも物語の面白さは十分に味わえますし、何より「読み止まってしまう」ことを防げます。
「全部読まなくてもいい」「美味しいとこ取りでいい」と自分に許可を出すだけで、ページをめくる指が驚くほど軽くなりますよ。
持ち歩く時間を決める(スマホの代わりに本を開く)
読書を習慣にする一番の方法は、「いつ読むか」というルールを決めてしまうことです。
「時間ができたら読もう」と思っていると、その時間は永遠にやってきません(その時間はスマホを見る時間に消えてしまいます)。
おすすめは、「通勤電車の行きだけ」や「寝る前の10分だけ」と限定すること。
そして、その時間はスマホを鞄の奥底や別の部屋にしまい、強制的に本を開くようにします。
特に薄い本やショートショートなら、10分あればキリの良いところまで読めてしまいます。
「スマホでSNSをダラダラ眺めていたら10分経っていた(何も残らない時間)」を、「小説を1話読んだ(物語を楽しんだ時間)」に変える。
この積み重ねは、1週間、1ヶ月と経つごとに、あなたの中に確かな教養と自信として蓄積されていきます。
まずは今日、帰りの電車や寝る前のベッドの中で、ほんの数ページだけめくってみませんか?
活字嫌いへのおすすめ小説でページ数少ない後悔しない名作まとめ

まとめ
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活字嫌いは集中力の問題ではなく、本の選び方次第で克服できる
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最初は「薄い本(200ページ以下)」で成功体験を積み、自信をつけることが大切
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「会話文が多い」「導入で事件が起きる」本を選べば、挫折しにくい
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隙間時間なら「ショートショート」、物語に没入したいなら「連作短編」がおすすめ
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「全部読まなくてもいい」と割り切り、つまらない部分は飛ばし読みしてもOK
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した15冊は、どれも私が自信を持っておすすめできる、ページ数が少なくて読みやすい、そして何より「面白い」名作ばかりです。
もし、この中でタイトルや表紙の雰囲気が気になった作品があったら、まずはその1冊だけを手に取ってみてください。
そして、「これなら読めそうだな」と少しでも感じたら、ぜひレジへ運んでみてください。
その薄い1冊の本が、あなたの世界を広げ、退屈な日常をワクワクする冒険に変える「読書」という素晴らしい趣味への入り口になることを、心から願っています。
あなたが「完読」の喜びに出会えますように!