街がキラキラと輝き始め、今年も残すところあとわずか。
年末年始の帰省を前に、「久しぶりに家族の顔が見られるな」と心が温かくなる一方で、ふっと影のように心をよぎる、小さな、でもとても重たい悩み。
特にパートナーの実家へお邪魔するとき、「おせち料理、何か一品でも持っていくべきかな?」「でも、お義母さんの手料理と被ってしまったら失礼にあたるかも…」なんて、考え始めるとキリがありませんよね。
分かります、分かります。何を隠そう、私自身も結婚して初めてのお正月、同じことで頭を悩ませた経験があるんです。
当時、結婚1年目だった私の友人、A子さんの話を少しだけさせてください。
彼女は年末が近づくにつれて、どんどん口数が少なくなっていきました。理由は、初めて夫の実家で過ごすお正月へのプレッシャー。「お義母さんは料理上手で有名。私が中途半端なものを持っていったら、笑われちゃうかも…」「かといって手ぶらで行く勇気もない…」と、カレンダーを眺めてはため息をつく毎日でした。
料理そのものだけでなく、品選びから適切な量、当日の渡し方のマナーまで、気を遣うポイントが多すぎて、まるでゴールの見えない迷路に迷い込んだような気持ちになってしまいますよね。
でも、もう大丈夫です。
この記事では、かつてのA子さんのようなあなたの悩みを完全に解決するため、状況別に最適な一品の選び方から、相手に「まあ、気が利くこと!」と心から思ってもらえるスマートな伝え方まで、具体的な方法を一つひとつ丁寧に、そして深く掘り下げて徹底解説していきます。
この記事を読み終える頃には、年末の持ち寄り問題に対する不安はすっかり消え、自信を持って笑顔で「ただいま!」が言えるようになっているはずです。
この記事のポイント
- 義実家には「メインのおせちと被らない一品」が基本
- 迷ったら「箸休め」「子供向け」「おせち以外」の3択で考える
- 手作りでも購入品でも大切なのは「相手を思う気持ち」と「伝え方」
- 「お口に合うかわかりませんが」の一言で謙虚な気持ちをプラス
- 容器は返却不要な「使い捨てタイプ」を選ぶのが心遣い
そもそも、おせちは持っていくべき?基本的な考え方
帰省の際に何か手土産を持っていくという行為は、「今年も一年お世話になりました」「元気な顔を見られて嬉しいです」という、言葉にならない感謝の気持ちの表れですよね。
しかし、その温かい気持ちが、かえって相手の負担になったり、「出しゃばりな嫁」なんて思われたりしては、あまりにも悲しい。そうならないためには、まず訪問先ごとの基本的な心構え、いわば「お正月の舞台における自分の役どころ」をしっかり理解しておくことが大切です。
義実家:「お邪魔します」の気持ちで、主役(義母)を立てるのが最優先
考えてみてください。お正月の食卓という晴れの舞台で、何日も前から献立を考え、コトコトと黒豆を煮て、一本一本丁寧に伊達巻を焼いてくれるのは、誰でしょうか。多くの場合、それはお義母さんですよね。
特に、私たち親世代である50代~70代の方々にとって、お正月料理は「その家の味を家族に振る舞う、主婦としての一大イベント」であり、ある種の聖域(サンクチュアリ)であることも少なくありません。そこに、良かれと思って別の家庭の味付けがされた「煮しめ」や「栗きんとん」が登場すると、どうでしょう。口には出さずとも、「私の味では、満足できないのかしら…」と、寂しい気持ちにさせてしまう可能性があるのです。
そうです。義実家という舞台において、料理の主役、いわば「主演女優」は、まぎれもなくお義母さんなのです。
あなたの役割は、その素晴らしい主演女優の舞台に彩りを添える「名脇役」。主役よりも目立ってはいけませんし、主役の得意料理と同じものを用意するのは、舞台の演出を壊してしまうようなもの。
ですから、定番の煮しめや黒豆、田作りといった「おせちのセンター」を張るような料理は避けるのが賢明です。「これなら、お義母さんの献立と被ることはないかな」「食卓にこれが一品加わると、少し目先が変わって面白いかも」と思ってもらえるような、控えめで気の利いた一品を選ぶこと。
これが、角を立てず、かつあなたの評価をぐっと上げる最大のポイントになります。
自分の実家:親子だからこそ「リクエストを聞く」のが一番
一方で、気心の知れたご自身の「実家」という舞台では、話は別です。ここでは、あなたは「名脇役」である必要はありません。主演女優であるお母さんの「一番の助監督」になってあげましょう。
助監督の仕事は、主演女優が最高のパフォーマンスを発揮できるように、負担を軽くしてあげること。つまり、遠慮なく「何か作っていこうか?」「何か食べたいものある?」と、事前にリクエストを聞いてしまうのが最も喜ばれます。
聞くタイミングとしては、あまり直前すぎると相手も考える時間がないので、帰省の1〜2週間前がベスト。「年末の買い出し、そろそろ考え始める頃かな?」というタイミングで、電話やLINEで気軽に聞いてみましょう。
「栗きんとんは裏ごしが大変だから、お願いできると助かるわ!」「煮豚、あなたの作るのが一番好きだから食べたいな」なんて、具体的なリクエストが聞けるかもしれません。私の実家の母も、「昆布巻きだけは、手間がかかるからお願い!」と毎年恒例のリクエストをくれます(笑)。
このように、具体的なリクエストに応えることで、親の負担を純粋に軽くしてあげられる。これこそが、実家に対する一番の親孝行かもしれませんね。
【状況別】もう迷わない!義実家への持ち寄りおすすめアイデア3選(簡単レシピ付き)
「主役を立てる名脇役の一品」という考え方は分かったけれど、じゃあ具体的に何を選べばいいの?と、新たな悩みが生まれてしまいますよね。
ご安心ください。ここでは、どんなお義母さんにも「あら、気が利くわね」と笑顔になってもらえる、絶対に失敗しない3つの選択肢を、それぞれ超簡単なレシピや購入派向けのワンポイントアドバイス付きで、徹底的に深掘りしてご紹介します。
選択肢①:おせちの「箸休め」になるさっぱりした一品
おせち料理は、ご存知の通り、日持ちするように少し濃いめの甘辛い味付けのものが中心です。美味しいのですが、ずっと同じ味付けが続くと、どうしても口の中が飽きてきてしまうもの。
そんな時に、さっぱりとした酸味やフレッシュな味わいの一品があれば、それはまるで砂漠のオアシス。食卓の救世主になれます。
【手作り派向け】切って混ぜるだけ!彩り野菜のカラフルピクルス
- 材料(作りやすい分量)
- 大根…5cm程度
- にんじん…1/2本
- きゅうり…1本
- パプリカ(赤・黄)…各1/2個
- [ピクルス液]
- お酢…200ml
- 水…100ml
- 砂糖…大さじ4
- 塩…小さじ1
- ローリエ…1枚
- 鷹の爪…1本(お好みで)
- 黒こしょう(粒)…10粒程度
- 作り方
- 野菜をそれぞれ同じくらいの大きさのスティック状に切ります。パプリカは彩りが命なので、少し太めでもOKです。
- 鍋にピクルス液の材料をすべて入れ、一度煮立たせて砂糖と塩を完全に溶かし、火を止めて冷ましておきます。
- 清潔な保存瓶やジップ付きの袋に切った野菜を彩りよく詰め、②のピクルス液を注ぎ入れます。
- 冷蔵庫で半日以上漬け込めば完成!味が染みるほど美味しくなります。日持ちも1週間程度するので、年末に作っておけるのも嬉しいポイントです。
【購入派向け】デパ地下で探す「ちょっと良いお漬物」
自分では買わないような、少し高級なお漬物も大変喜ばれます。デパ地下の専門店なら、素材や製法にこだわった逸品が見つかります。「千枚漬け」や「ゆず大根」など、季節感のある上品なものがおすすめです。「お茶請けにも良さそうだと思って」と一言添えれば、さらに好印象です。
選択肢②:「孫も喜ぶ」を大義名分にした子供向けメニュー
これは、小さなお子さんがいらっしゃる場合に使える、いわば「魔法の選択肢」です。
お孫さんのことは、おじいちゃんおばあちゃんにとって、目に入れても痛くないほど可愛い存在。そのお孫さんを想って用意した一品を、邪険に思う人はいません。
「お孫さん(自分の子供)も食べられるものを作ってきました」という言葉を添えれば、お義母さんも「まあ、ありがとう!」と、何の気兼ねもなく受け取ってくれます。それに、子供が好きなメニューは、意外と大人にとっても良い気分転換になるものですよ。
【手作り派向け】冷めても美味しい!鶏ひき肉の和風ミートローフ
- 材料(パウンドケーキ型1台分)
- 鶏ひき肉…400g
- 玉ねぎ…1/2個
- にんじん…1/3本
- パン粉…大さじ5
- 牛乳…大さじ3
- 卵…1個
- 塩、こしょう…少々
- [A]醤油…大さじ1
- [A]みりん…大さじ1
- [A]酒…大さじ1
- うずらの卵(水煮)…6個
- 作り方
- 玉ねぎ、にんじんはみじん切りにします。パン粉は牛乳に浸しておきます。
- ボウルに鶏ひき肉、①の野菜、牛乳に浸したパン粉、卵、塩、こしょう、[A]の調味料をすべて入れ、粘りが出るまでよく混ぜ合わせます。
- オーブンシートを敷いたパウンドケーキ型に、②のタネの半分を詰め、中央にうずらの卵を1列に並べます。
- 残りのタネを上からかぶせて表面を平らにならし、200℃に予熱したオーブンで30〜40分焼きます。竹串を刺して透明な肉汁が出れば完成です。
【購入派向け】ホテルのデリや専門店で探す
少し高級なスーパーやホテルのデリカテッセンには、子供も大人も楽しめるおしゃれな洋風総菜が豊富です。「ブロッコリーとエビのテリーヌ」や、子供でも食べやすい「鶏肉の八幡巻き」などは、見た目も華やかで失敗がありません。
選択肢③:あえて「おせち以外」で食卓を華やかにする豪華な一品
これは、少し上級者向けかもしれませんが、最も「おっ!」と思わせることができる選択肢です。
「おせち料理は、お義母さんがたくさんご用意されると思いましたので」と、相手を立てる一言を添えて、全く違うジャンルの料理を持参するのです。
これは、お義母さんの領域(おせち)を侵さないという最大限の敬意を払いつつ、食卓の豪華さをプラスするという、まさに「名脇役」の真頂。お正月の特別感をさらに盛り上げる、華やかな一品を選んでみましょう。
【手作り派向け】炊飯器でほったらかし!失敗しないローストビーフ
- 材料
- 牛ももかたまり肉…400g〜500g
- 塩、黒こしょう…各小さじ1
- にんにく(すりおろし)…1かけ分
- オリーブオイル…大さじ1
- [ソース]
- 醤油…大さじ3
- 酒、みりん…各大さじ2
- 玉ねぎ(すりおろし)…1/4個分
- 作り方
- 牛肉は調理の1時間前には冷蔵庫から出し、常温に戻しておきます。塩、黒こしょう、にんにくを全体にしっかりとすり込みます。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、牛肉の各面に1分ずつ、こんがりと焼き色をつけます。
- 焼き色がついた肉を、熱に強いジップ付きの密閉袋に入れ、空気を抜いてしっかりと閉じます。
- 炊飯器に③の肉を入れ、肉が完全に浸るくらいの熱湯を注ぎ入れ、「保温」スイッチを押して40〜50分放置します。
- 時間が経ったら肉を取り出し、アルミホイルに包んで30分ほど休ませます。肉汁が落ち着き、しっとりと仕上がります。
- 肉を焼いたフライパンに残った肉汁にソースの材料をすべて入れ、ひと煮立ちさせれば絶品ソースの完成です。
【購入派向け】専門店の実力を借りる
ローストビーフや合鴨のローストは、専門店やデパ地下で買うのが一番確実で美味しいです。ポイントは「ソースも一緒に購入すること」と「スライスされていないブロックのまま購入すること」。食べる直前に切り分ける方が、断然美味しくいただけます。少し高級なフルーツも、料理が苦手な人にとっては最高の選択肢です。
【関係性別】実家 vs 義実家、さらにこんなケースはどうする?
基本の考え方はお伝えしましたが、家庭の状況は十人十色。ここでは、もう少し踏み込んだケーススタディを見ていきましょう。
ケース①:夫の実家が「本家」で、親戚一同が何十人も集まる場合
この場合は、個人プレーよりも「チームプレー」を意識することが大切です。持っていくものの規模感も変わってきます。事前に夫を通じて、「他の親戚(お義姉さんなど)は何を持ってくるか」をリサーチしてもらいましょう。
相談した上で、「それなら私はデザート担当ね」「うちは子供が多いから、から揚げをたくさん揚げていくわ」といったように、役割分担をするのが最もスマートです。もし、そういった連携が難しい場合は、「大勢でつまめる乾き物や個包装のお菓子」など、メインの食事を邪魔しない差し入れに徹するのが安全策です。
ケース②:自分の実家も、夫の実家も、同日にハシゴする場合
これは物理的にも精神的にもハードな一日になりますね。重要なのは「無理をしないこと」です。両家に手作りの品を、と考えると負担が大きすぎます。
おすすめは、「両家で同じ購入品を持っていく」こと。例えば、有名店のバームクーヘンや焼き菓子の詰め合わせなどを用意し、「両家のご両親に」という形で購入します。そして、それぞれの家で「こちら、○○(もう一方の家の名字)さんにも同じものをお渡しするんです」と伝えるのです。これにより、両家に平等に気を遣っているという姿勢が伝わります。
ケース③:義実家との関係がまだ少しぎこちない新婚1年目の場合
最初の印象が肝心な新婚1年目。ここで最も大切なのは「頑張りすぎないこと」と「謙虚さ」です。手作りの料理で腕前をアピールするよりも、「これからお義母さんの味をたくさん教えていただきたいです」という姿勢を見せることが好印象に繋がります。
持っていくなら、前述した「箸休め」や「おせち以外の豪華な一品(購入品)」が無難でしょう。そして何より、当日は笑顔でご挨拶し、積極的にお手伝いの姿勢を見せること。料理一品よりも、その振る舞いの方が、何倍もあなたの評価を高めてくれます。
手作り?購入品?準備で失敗しないためのQ&A
さて、メニューの方向性が決まったら、次は準備段階で湧いてくる細かな疑問を、Q&A形式でさらに詳しく解消していきましょう。
Q1. 手作りと購入品、どちらが好印象?
A. 結論から言うと、どちらでも大丈夫です。何よりも大切なのは「あなたの今の状況に合わせて、相手を心から思った」という、その事実そのものです。
年末は、誰にとっても一年で最も忙しい時期。子育てやお仕事で時間に追われる中、無理をしてまで手作りにこだわる必要は全くありません。
考えてみてください。睡眠不足で疲れ切った顔で「がんばって作りました…」と渡される一品と、「ここのお店のローストビーフが本当に美味しくて、ぜひお義父さんお義母さんにも召し上がってほしかったんです!」と笑顔で渡される一品。どちらが嬉しいかは、言うまでもありませんよね。
時間に余裕があって、あなたの得意な料理があるなら、もちろん手作りは素晴らしい。でも、忙しい時は無理せず、プロの力を借りる。その判断ができることこそ、大人の女性のスマートさです。
Q2. 持ち運びで気をつけることは?
A. 「汁気の少ないもの」を選び、「返却不要の容器」に入れる。これが、思いやりの鉄則です。
新幹線や車での長時間の移動では、どんなに気をつけていても、煮物のような汁気の多いものは漏れてしまうリスクが伴います。万が一、お義母さんの家の玄関先で袋から汁が…なんてことになったら、お互いに気まずいですよね。
マリネのような料理も、持参する直前に和えるか、しっかりと汁気を切ってから詰めるのがポイントです。
そして、もう一つ。意外と見落としがちなのが「容器」です。
あなたが愛用している高級なタッパーや、実家から受け継いだ立派な重箱。それに入れて持っていくと、お義母さんは「これを洗って、また返さなくては…」と、新たな気を遣うことになってしまいます。
ここはぜひ、100円ショップや雑貨店などで手に入る、おしゃれな使い捨て容器を活用してください。「この容器は捨ててしまって大丈夫ですので!」と一言添える。その小さな心遣いが、大きな好印象に繋がります。
Q3. 量はどれくらいが適切?
A. 親戚一同が「あら美味しいわね、と一口ずつ味見できる」くらいの量がベストです。
これもよくある悩みですよね。私も昔、張り切って大量のポテトサラダを持っていき、消費に困らせてしまった苦い経験があります。
あくまであなたの料理は「もう一品」という立ち位置。メインディッシュではありません。食卓に並んだ時に「うわっ、すごい量…」と相手を圧倒させるのではなく、「ちょっとつまむのに、ちょうど良いわね」と感じてもらえる量が理想です。
親戚が10人集まるなら、10人が一口ずつ、「あ、美味しいね」と言いながら楽しめるくらい。少し物足りないかな?と感じるくらいが、実はちょうど良いのです。
Q4. 義父母の好き嫌いやアレルギーがわからない場合は?
A. まずは夫に確認してもらうのが一番の近道です。
「お義父さん、甲殻類は大丈夫だっけ?」「お義母さん、甘すぎるものは苦手だったりする?」など、パートナーに事前に詳しくリサーチしてもらいましょう。
もし、パートナーも詳しく知らない場合は、安全策に徹するのが賢明です。エビ・カニなどの甲殻類、ソバ、ナッツ類など、アレルギーを持つ人が多い食材は避けます。また、香辛料が強いものや、パクチーなど香りの独特なものも避けましょう。「鶏肉」「豚肉」「根菜類」などを使い、醤油・砂糖・みりんをベースにした、いわゆる「万人受けする和風味」にしておくのが最も安全です。
Q5. 持っていった料理、もし誰も食べてくれなかったら?
A. 大丈夫、気にしないのが一番です!でも、少しの工夫でそのリスクは減らせます。
これは、想像するだけで胸が痛くなる状況ですよね。でも、お正月の食卓はご馳走の山。お腹がいっぱいで、どうしても手が伸びないこともあります。決して、あなたの料理が美味しくなかったわけではありません。
そうならないための予防策として、渡す際に「お子さんたちでも食べられるように、優しい味付けにしてきたんです」と子供向けであることをアピールしたり、「これ、ワインにすごく合うんですよ」とお酒とのペアリングを提案したりすると、食べてもらえるきっかけが生まれます。
万が一、残ってしまっても、帰り際に「もしよかったら、明日の朝ごはんにでもしてください」と明るく言うか、何も触れずにそのままにしておくのが大人の対応です。決して、「美味しくなかったですか…?」などと聞かないようにしましょう。
最も重要!スマートな事前確認と当日の伝え方
どんなに素晴らしい料理を用意しても、どんなに完璧な準備をしても、最後の「伝え方」一つで、その印象は天国と地獄ほどに変わってしまいます。
相手に気持ちよく、心から笑顔で受け取ってもらうための、コミュニケーションのコツ。これこそが、この問題の核心であり、あなたの評価を決定づける最も重要なポイントです。
「お気遣いなく」と言われたときのベストな聞き方
年末が近づいた頃、良かれと思って「何かお手伝いしましょうか?」「何か作っていきましょうか?」と電話をかける。すると、9割以上のお義母さんは、こう答えるはずです。
「ありがとう。でも大丈夫よ、何も気を使わなくていいからね」と。
これは、日本人特有の奥ゆかしさの表れ。決して「本当に何も持ってくるな」という意味ではないことがほとんどです。ここで「そうですか、分かりました!」と引き下がってしまうのは、少し素直すぎるかもしれません。
こんな時は、相手が「Yes/No」で答えやすいように、具体的な提案で聞き直してみましょう。
- OKな聞き方:「ありがとうございます!お言葉に甘えさせていただきます。でしたら、もしよろしければ、食後のデザートに〇〇(店の名前)のケーキでも買っていこうかと思うのですが、いかがですか?」「承知しました!もしご負担でなければ、皆様の箸休めに、簡単な彩り野菜のピクルスだけ作っていってもよろしいですか?」
「何か」という漠然とした質問は、相手に「何をお願いしようか」と考えさせる負担を与えてしまいます。具体名を出すことで、相手は「あら、ケーキいいわね!」「ピクルスなら助かるわ」と、ずっと気楽に返事をしやすくなるのです。
当日、好印象を与える魔法の一言
さて、いよいよ当日。玄関先で持参した料理を渡す、緊張の瞬間です。ここで、あなたの印象を決定づける「魔法の一言」を添えましょう。ポイントは、どこまでも謙虚な姿勢です。
- 魔法のフレーズ例:「大したものではないのですが、よかったら皆さまで召し上がってください。お口に合うかわかりませんが…」「おせち料理の箸休めにでもなればと思いまして、少しだけ作ってきました」「近くで評判の〇〇(店の名前)のローストビーフなんです。ぜひご一緒にいただきたくて」
決して、「これ、すごく美味しいんですよ!」「がんばって作りました!」と、自分からアピールしてはいけません。
「私はあくまで脇役です」という謙虚な気持ちが伝わることで、お義母さんは「なんて出来たお嫁さんなのかしら」と、あなたの心遣いを快く受け取ってくれるはずです。私も最初はドキドキでしたが、この一言を添えるだけで、お義母さんの表情がふっと和らぐのを、これまで何度も見てきました。
実家・義実家に持っていくおせち料理まとめ
- 「おせちで実家・義実家に何を持っていく」問題の答えは料理そのものではなく心遣いにある
- 義実家では主役である義母を立てる「名脇役」に徹しメイン料理は避ける
- 迷った時のメニューは「箸休め」「子供向け」「おせち以外」が鉄板
- 手作りか購入かよりも「相手を思う気持ち」と「スマートな伝え方」が最も重要
- 謙虚な一言を添えることであなたの評価は格段に上がる
- 無理をせず自分にできる範囲で感謝の気持ちを伝えることが最高のコミュニケーション
冒頭でご紹介した友人A子さん。彼女は悩んだ末、この記事でご紹介した「炊飯器ローストビーフ」と「彩りピクルス」を持っていきました。
「お義母さんのおせちの邪魔にならないように、洋風のものにしてみました」という魔法の一言を添えて。結果、お義母さんからは「美味しいわ!気が利くのね!」と褒められ、自信を持って新年を迎えることができたそうです。
あなたも、今回ご紹介したポイントを参考に、あなたらしい方法で「いつもありがとう」の気持ちを表現し、ご家族皆様で、笑顔あふれる素晴らしいお正月をお過ごしくださいね。