ファッションコーデ

ニットコーデの最新形態。肩幅が広いのをごまかす最強テク

空気がひんやりとして、街路樹の葉が色づき始めると、いよいよニットの季節ですね。

ふんわりとした暖かさ、柔らかな肌触り。ニットは、秋冬にしか楽しめない、私たちを優しく包み込んでくれる特別なファッションアイテムです。

でも、この季節が来るたびに、心のどこかで小さなため息をついていませんか?

「ニットの季節は大好き。でも…どうしても肩幅が広くて、ガッチリ見えてしまう…」

「お店で目にする、あの可愛いパフスリーブのニット。『どうせ私には似合わない』と、手を伸ばすことすら諦めている」

「意を決して試着室に入っても、鏡に映る『たくましい自分』を見て、そっとニットをハンガーに戻してしまう」

その気持ち、痛いほど、本当によく分かります。

何を隠そう、私自身が、物心ついた時から「肩幅が広い」というコンプレックスと戦い続けてきた、いわば「同志」だからです。

学生時代、当時大流行していたざっくり編みのケーブルニット。雑誌のモデルさんがそれはもう可愛く着こなしていて、「私もあんな風になりたい!」と意気込んで試着しました。

…鏡に映っていたのは、私が憧れた華奢な女の子ではなく、ラグビーの試合にでも出るのかというような、たくましい「アメフト選手」でした。

あの時のショックと恥ずかしさ。

それ以来、「可愛いニット」は私にとって「着る服」ではなく「眺めるもの」になりました。

「私には、Tシャツとパーカーがお似合いだ」と、自分に言い聞かせるようにして、大好きだったはずのファッションから、少しずつ距離を置くようになってしまったのです。

肩幅が広いと、ニットのデザインによっては実際よりも太って見えたり、体格が良く見えすぎて、意図しない「威圧感」を与えてしまったり…。

コーデ選びが、本当に難しいですよね。

 

でも、もし、そんな長年の悩みから解放されるとしたら?

もし、肩幅の広さを「個性」として活かしつつ、スッキリと華奢に見せる「法則」があるとしたら?

大丈夫です。その「法則」は、確かに存在します。

ファッションの勉強を重ね、数えきれないほどの失敗と試着を繰り返した今だからこそ、私は自信を持って断言できます。

この記事は、過去の私のように「どうせ私なんて」と諦めかけている、あなたのため息を「希望」に変えるために書きました。

この記事では、単なる小手先のテクニックではありません。

「肩幅が広い」というお悩みを根本から解決し、あなたが心からニットコーデを楽しめるようになるための「ごまかしテクニック」と「選び方の哲学」を、惜しみなく、徹底的に解説していきます。

ネックラインの選び方という「基本のキ」から、素材感、最適なサイズ感、さらには視線をそらす魔法のようなコーデ術、小物、ヘアスタイルまで。

あなたの「知りたい!」と思っていた疑問の答えが、すべてここにあります。

もう「肩幅が広いから」と、着たい服を諦めるのは、この記事で終わりにしましょう。

 

この記事のポイント

  • 肩幅カバーの鍵は「縦のライン」を意識すること
  • ネックラインはVネック・Uネック・キーネックが最強
  • 避けるべきはクルーネック・ボートネック・パフスリーブ
  • 素材は厚手より「落ち感のある薄手(ハイゲージ)」を選ぶ
  • サイズはタイトすぎず、大きすぎない「適度なゆとり」
  • ドロップショルダーは肩の落ち感が深いデザインを選ぶ
  • 上半身は「収縮色」で引き締め、視線をボトムスに誘導する

 

なぜ太って見える?肩幅を強調する「NGニット」の特徴

さて、具体的なテクニックに進む前に、まずは「なぜ、そのニットを着ると太って見えるのか?」、そのメカニズムを知ることから始めましょう。

スポーツでも、まずは相手(=NGニット)の戦略や特徴を知ることが勝利への近道ですよね。知らず知らずのうちに、自ら肩幅を強調してしまう「地雷」を踏まないために、まずは避けるべきニットの特徴を、その理由と共にしっかり押さえてください。

【厳禁】横幅を広く見せるネックラインとデザイン

 

デザインの中でも、特に「ネックライン(首回り)」と「袖のデザイン」は、肩周りの印象を9割決定づけると言っても過言ではない、最重要ポイントです。

  • 肩幅を強調する「クルーネック」「ボートネック」クルーネック(丸首)は、最もスタンダードなデザインですが、実は肩幅さんにとっては最大の難敵。首元がキュッと詰まっているため、顔と肩の境界線が曖昧になり、顔の下から肩までが「一枚の板」のように見えてしまうのです。特に、首の詰まり具合が強いほど、その傾向は顕著になります。

    ボートネックも同様です。名前の通り「ボート(船)」の底のように横に浅く開いたデザインは、もともとフランスの船乗りたちが着ていた服がルーツ。

    そのデザインの意図通り、視線はどうしても「横」に誘導されます。結果、肩幅が実際よりもさらに広く見えてしまうのです。

 

  • がっちり見え確定「パフスリーブ」「ショルダータック」わかります。今のトレンド、パフスリーブや袖にデザインがあるものが本当に可愛いですよね。でも、どうか冷静に考えてみてください。パフスリーブや、肩にタック(ひだ)が入ったデザインは、デザインの「起点」が肩にあります。つまり、「肩にボリュームを足す」ことを目的としたデザインなのです。私たちがごまかしたいと思っている「肩」に、わざわざ視線とボリュームを集めているのですから、これはもう、肩幅が強調されて当然。例えるなら、火に油を注いでいるようなもの。「ここに私の肩がありますよ!」と大きなネオンサインを掲げているのと同じです。流行っているとかわいく見えますが、私たち肩幅さんは、この甘い罠にはまってはいけません。

 

  • 肩に視線が集中する「太いボーダー柄」ボーダー柄も、非常に注意が必要なアイテムです。特に危険なのが、肩や胸元など、私たちが一番幅を気にしている部分に「太いボーダー」が配置されているデザイン。ボーダーは「横縞」ですから、視覚的に横幅をさらに拡張して見せる効果があります。太ければ太いほど、その効果は絶大です。「ボーダー=太って見える」と昔から言われるのは、このためですね。

体を大きく見せる「素材」と「サイズ感」

デザインをクリアしても、まだ安心はできません。ニットの「素材」や「サイズ」が、最後の落とし穴になることも…。

  • 膨張して見える「厚手のローゲージニット」冬になると恋しくなる、あの「ざっくり感」。

編み目が粗く、ふっくらと厚みのあるローゲージニット。…可愛いですよね。私も大好きです。

ですが、この「ふっくらとした厚み」こそが曲者。ローゲージニットは、それ自体にかなりの「体積(ボリューム)」があります。

肩幅が広い方がこれを着ると、そのボリューム感を一番目立つ「肩」で真正面から受け止めてしまうことになります。

結果として、体全体が丸く膨張し、まるで雪だるまのように…。

着ている本人は暖かいかもしれませんが、見た目は「着膨れ」そのものになってしまいます。

 

  • 体のラインを拾いすぎる「タイトすぎるリブニット」

「じゃあ、真逆の、薄手でピタピタのニットなら良いの?」そう思って、華奢な人が着こなしているような、体にフィットする「細リブニット」に挑戦したことはありませんか?

…そして、鏡の前で愕然としませんでしたか?

そうなんです。それもまた逆効果。体にフィットしすぎる、特に「細いリブ」のニットは、肩から腕にかけての「骨格のライン」を、これでもかというほどくっきりと拾いすぎてしまいます。

それが、かえって骨格のたくましさや、肩周りの「むっちり感」を強調してしまい、私たちが目指す「華奢さ」とは程遠い印象になってしまうのです。

「痩せている人が着る」のと「私たちが着る」のでは、全く別物になってしまう、悲しい現実ですね。

華奢見えの法則!肩幅をごまかすニットの「正しい選び方」

お待たせいたしました。NGな特徴が痛いほどお分かりいただけたところで、いよいよ本題です。

では、私たちは一体、何を選べば良いのでしょうか?

肩幅の広さを「なかったこと」にするのではなく、自然にごまかし、魔法のようにスッキリと華奢に見せてくれる「正しいニットの選び方」を、ここから徹底的に解説していきます。

ここさえ押さえれば、あなたのニット選びは劇的に変わり、明日からの買い物が楽しくなるはずです。

最重要ポイントは「ネックライン」!縦の抜け感を作る

 

肩幅をごまかす上で、最も、本当に最も重要なのが「ネックライン」です。

ここでの合言葉は「横は閉じ、縦に開け」です。

  • ベストチョイス:Vネックこれはもう、私たち肩幅が広い民にとっての「救世主」であり「三種の神器」の一つと言っても過言ではありません。Vネックは、その形状が示す通り、シャープに「縦のライン」を作ってくれます。人の視線は、本能的に「肌が見えている部分」に集まります。V字に開いたデコルテ(首元から胸元)は、視線を自然と「顔の下の中央」に集め、左右の「肩」への意識をそらしてくれるのです。これは一種の「錯視(トリックアート)」のようなもの。この強力な視覚効果を使わない手はありません。深さのポイント: ただし、深すぎるとオフィスで着づらいなど、シーンを選ぶ場合があります。浅めのVネックでも十分効果はありますし、深いVネックの場合は、中に薄手のシアーインナーやキャミソールを重ねて「見せる肌」の面積を調整するのがおすすめです。

 

  • 次点:Uネック、キーネック「Vネックは少しシャープすぎる」「胸元が空きすぎるのはちょっと抵抗が…」という方も、もちろんいらっしゃいますよね。そんな方には、Uネックやキーネック(首元に小さく鍵穴のような切り込みが入ったデザイン)が最適です。Vネックほど鋭角ではありませんが、Uネックも「丸みのある縦開き」であり、キーネックも「縦の切り込み」が入っていることで、Vネックと同様に視線を中央に集め、顔周りをスッキリと見せてくれる効果があります。

 

  • タートルネック・ハイネックの攻略法「冬は寒いから、どうしてもタートルネックが着たい!」…その気持ち、わかります。首元が暖かいと、体感温度が全然違いますよね。一般的に「首が詰まる=肩が目立つ」と思われがちなタートルネックですが、これも選び方次第で「攻略可能」です。

    まず、絶対に避けるべきは、NG例で挙げた「分厚いローゲージ」で「首にぴったりすぎる」タートル。これは顔と肩が一体化し、最もたくましく見える最悪の組み合わせです。

    狙うべきは、「リブが細く、体にフィットしすぎないハイゲージ(薄手)のもの」。首の部分が少しクシュッと余るくらい、あるいは首から少し離れる「オフタートル」気味のデザインが良いですね。

    そして、最強の攻略法は、ご存知「ロングネックレスを合わせる」こと。

    タートルネックの上から、長めのネックレス(できれば80cm以上)で人工的に「縦のVライン」を作ってあげるのです。この一手間だけで、視線がしっかりと縦に誘導され、驚くほどスッキリと見違えます。

素材は「落ち感」と「厚すぎない」が鉄則

 

次に注目するのは「素材」です。

NG例では「厚手のローゲージ」を挙げましたが、では何を選べば良いのでしょうか。キーワードは「落ち感」です。

 

  • なぜ「ハイゲージ(薄手)」が良いのか?答えは、「落ち感」が出るからです。「落ち感」とは、重力に従って、素材が「ストン」と下に流れるような、しなやかな質感のこと。ハイゲージ(編み目が細かく、薄手で滑らかな)ニットは、体のラインを「拾いすぎる(=フィットしすぎる)」ことなく、あなたの肩のラインに「自然に沿って」下に落ちてくれます。この「沿って落ちる」というしなやかな動きが、肩の張りを拾わず、骨格の強さをカモフラージュしてくれるのです。メリットは他にも: ハイゲージニットは、ジャケットやカーディガンのインナーとしても着ぶくれせず、秋口から春先まで長く着回せるという、経済的なメリットも大きいですよ。

 

  • おすすめ素材:レーヨン混、カシミヤ、目の詰まったコットンニット具体的には、「レーヨン」が混紡されている素材は、テロンとした独特の「落ち感」が出やすいので、見つけたらぜひ試してみてください。また、上質な「カシミヤ」や「ファインメリノウール」も、薄手でも驚くほど暖かく、きれいな「落ち感」が出ます。春先や秋口、あるいは静電気が苦手な方には、目の詰まった滑らかな「コットンニット」も非常に優秀です。

 

  • NG素材:モヘア、シャギーニットこれらは素材自体が「毛足が長く、ふわふわしている」ため、どうしても空気を含んでボリュームが出てしまいます。見た目はとてもロマンチックで可愛いのですが、肩幅が広い方にとっては、そのボリュームがそのまま体格の良さに見えてしまう、手ごわい強敵。着るならアウターではなく、スカートなどで取り入れたい素材ですね。

正解はどっち?「ジャストサイズ vs オーバーサイズ」

 

サイズ選びは、永遠のテーマであり、本当に悩ましい問題です。

ピチピチはダメ、ダボダボも危険。私たちが目指すべき正解は、「適度なゆとり」以外にありません。

 

  • ピチピチ(ジャストすぎ)→ NGの項で述べた通り、体のライン(特に肩の骨格)を拾いすぎて、たくましさを強調してしまいます。

  • ダボダボ(オーバーサイズすぎ)→ これも危険です。体全体が大きく見えてしまいます。特に、肩幅が広い人がオーバーサイズを着ると、服の横幅が一番広い「肩」を基準にしてしまうため、服に着られている感が出たり、余計に体が大きく見えてしまう危険性があります。

「適度なゆとり」の具体的な見つけ方(試着時のチェックポイント):

  1. 肩の縫い目(ショルダーライン): 自分の肩の頂点(骨が一番出っ張っているところ)よりも、「指1~2本分、外側に落ちている」かを確認します。

  2. 脇の下(アームホール): 腕を上げた時に、脇の下がキツくないか。逆に、こぶしが2つも3つも入るほど緩すぎないか。こぶし1つ分くらいのゆとりが理想です。

  3. 身幅: 体のライン(特にバストやウエスト)を拾わず、かといって布が余りすぎていないか。

  • 疑問解決:「ドロップショルダー」は肩幅をごまかせる?ここで、多くの方が悩む「ドロップショルダー」問題について、さらに深掘りします。(ドロップショルダー:肩の切り替え線が、本来の肩の位置よりも腕の方に落ちているデザイン)

    結論から言うと、「選び方次第で、最強のごまかしアイテムになる」です。

    私自身、ここで数えきれないほどの失敗を重ねてきました。試着室で「あれ?流行りのドロップショルダーなのに、余計にガッチリしてない?」と。

    その原因は、「中途半端な落ち感」にありました。

    NGなドロップショルダー:

    肩の切り替えが、実際の肩の頂点から「ほんの数センチだけ(指2~3本分くらい)」落ちているもの。これは、「私の肩は、この切り替え線までありますよ!」と主張しているようなもので、逆に肩幅を広く見せてしまいます。

    OKなドロップショルダー:

    肩の切り替えが、「二の腕の真ん中」あたりまで、「思い切り深く、潔く」落ちているデザイン。

    ここまでくると、もはや「どこまでが本当の肩なのか」が非常に曖昧になります。この曖昧さこそが、肩のラインをごまかしてくれる最大のポイントなのです。お店でハンガーにかかっている状態でも、アームホール(袖の付け根)が極端に低い位置にあるものを選べば、失敗は少なくなります。

色選びのコツ:上半身は「収縮色」で引き締める

最後に、色の視覚効果も賢く利用しましょう。物理的にごまかせないなら、色でごまかせば良いのです。

  • 肩幅カバーに効く色(収縮色)ご存知の通り、黒、紺、濃いグレー、ダークブラウン、ボルドーといった「暗い色(収縮色)」は、物体を実際よりも小さく、引き締めて見せる効果があります。上半身、特に肩が目立つ部分にこれらの色を持ってくると、スッキリとシャープな印象を与えてくれます。
  • 膨張色(白、淡いピンク、ベージュ)を着たい時のテクニックでも、「好きな色を我慢したくない!」「パーソナルカラー的に、暗い色が似合わない!」…その気持ち、わかります。私もそうです。もちろん、大丈夫です。好きな色を着ることを諦める必要は全くありません。白や淡い色のニット(膨張色)を着たい時は、以下の「合わせ技」を使ってみてください。
    1. アウターで「Iライン」を作る(最強):インナーに膨張色のニットを着て、その上から収縮色(黒や紺など)のロングカーディガンやジレ(ベスト)を羽織ります。すると、内側の明るい色の面積が「縦のIライン(細い長方形)」に限定され、ものすごい細見え効果が生まれます。
    2. デザインを「Vネック」で妥協する:色が膨張色なら、デザインは必ず「抜け感」のあるVネックやUネックを選ぶこと。色の効果(横に広がる)を、デザインの効果(縦に抜ける)で打ち消すイメージです。
    3. 素材を「超落ち感」のあるものにする:テロンとしたレーヨン混や、滑らかなカシミヤなど、素材の力でボリュームを最大限に抑えます。

視線をそらす!肩幅カバーを完璧にする「コーデ術」と「アウター選び」

 

さて、ここまでは「ニット単体」の選び方という「防御」のテクニックを見てきました。

しかし、どんなに完璧なニット(防具)を選んでも、コーデ全体のバランス(戦略)で失敗しては台無しです。

ここからは、肩幅から視線を「そらす」ための、ワンランク上の「攻め」のコーデ術とアウター選びをご紹介します。

ボトムスで視線を下に誘導するテクニック

 

肩幅が広いということは、どうしても視線が「上半身」に集まりやすい、という宿命を背負っています。

ならば、発想を転換しましょう。「下半身」に視線が集まるように、私たちが意図的に仕向ければ良いのです。

  • フレアスカートやAラインスカートで「Xライン」を作るこれは王道にして、最も女性らしく、そして最も強力なテクニックです。上半身は(先ほど学んだ)スッキリ見えるニット(これをスカートにタックインするのがベスト)、ウエストをキュッと絞り、下半身はふんわりと広がるAラインやフレアスカート。この「砂時計」のような「Xライン」のシルエットを作ると、相対的にウエストが細く見え、私たちの悩みだった「肩幅の広さ」が、今度は「くびれ」を強調するための絶好のアクセントに変わるのです。コンプレックスが、一瞬でチャームポイントに変わる瞬間です。

 

  • センタープレスのワイドパンツで縦ラインを強調パンツスタイルの場合は、センタープレス(中央に折り目)の入ったワイドパンツが非常におすすめです。センタープレスが「縦のライン」を強く、強く意識させてくれるため、視線が自然と下に流れ、全身がスラリと縦長に見えます。

 

  • トレンドの「マーメイドスカート」も味方につける最近流行のマーメイドスカートも、実は肩幅さんの強い味方。ヒップ周りはタイトで、裾に向かって広がるシルエットは、自然と視線を下半身の「動き」に集めてくれます。

 

  • スキニーパンツは避けるべき?(Yライン問題)これは要注意です。上半身にボリューム(肩幅)があり、下半身がピタピタのスキニーだと、アルファベットの「Y」のようなシルエットになってしまいます。これは、上半身のたくましさを最大限に際立たせてしまう、危険なバランスです。もしスキニーを履く場合は、
    1. お尻や太ももが完全に隠れるくらいの「チュニック丈」のニットを合わせる。

    2. 足元はボリュームのあるスニーカーや「ブーツ」で重さを出す。など、Yラインを緩和する工夫が必須です。

肩幅をごまかす「アウター」と「カーディガン」の選び方

秋冬コーデに欠かせないアウター選び。これが最後の砦であり、最大の難関かもしれません。

アウター選びの基準はただ一つ、「肩のラインがどうなっているか」です。

 

  • 肩のラインをぼかす「ノーカラーコート」「ドロップショルダーアウター」襟(カラー)がない「ノーカラー」のアウターは、首元がV字にスッキリするため、肩への視線が集中しにくいです。また、ニット同様、アウターも「ドロップショルダー」や、肩の切り替え自体がない「ラグランスリーブ」(野球のユニフォームのような袖のつき方)を選ぶと、肩のラインが曖昧になり、ニットの上からでも華奢に見えます。

 

  • 縦ラインを作る「ロングカーディガン」「ガウンコート」これは先ほどの「Iライン」テクニックの応用編。サッと羽織るだけで縦のラインを強調してくれるロングカーディガンは、肩幅をごまかす最強のアイテムの一つ。また、ベルトでウエストマークできる「ガウンコート」も、Xラインを作ってくれるのでおすすめです。

 

  • NGアウター:トレンチコート(エポレット=肩章はNG)、ライダースジャケット絶対に避けてほしいのが、トレンチコートなどについている「エポレット(肩章)」です。あれは元々、軍服において階級を示したり、水筒やカバンのベルトがずり落ちないようにするためのもので、「肩」を装飾し、強調するためのデザインです。また、ライダースジャケットやテーラードジャケットの多くは、「セットインスリーブ」といって、肩のラインに沿ってかっちりと袖が付けられています。素材も硬いため、肩のラインがごまかし一切効かず、固定されてしまいます。(※もし着る場合は、あえて大きめサイズを選び、肩を落として「抜き襟」のように着崩す高等テクニックが必要です)

 

【上級編】小物とヘアスタイルでさらに華奢見え!

「神は細部に宿る」という言葉があります。

ニット、コーデ、アウター選びという「土台」が完璧になったら、最後の仕上げは「小物」と「ヘアスタイル」という「細部」です。

この一手間が、あなたの「ごまかしコーデ」を、誰にも真似できない「洗練されたスタイル」へと昇華させてくれます。

 

視線を操る「ネックレス」と「マフラー」の使い方

 

  • ロングネックレスでVラインを強制的に作るこれはタートルネックの攻略法でもご紹介しましたが、クルーネックなど首が詰まったニットを着る時にも絶大な効果を発揮します。人の視線は、光るものや揺れるものにいく習性があります。胸元で揺れるロングネックレスで「縦のVライン」を強制的に作ることで、視線を中央に集め、肩幅からそらしましょう。

 

  • 大ぶりで「揺れる」イヤリング・ピアスを投入ネックレスだけでなく、「耳元」も重要です。大ぶりで縦に揺れるデザインのイヤリングやピアスは、視線を「顔周り」に集中させてくれます。視線が顔に行けば、相対的に肩への意識は薄れますよね。

 

  • マフラー・ストールは「垂らす」のが正解寒い日、マフラーを首元で「ぐるぐる巻き」にしていませんか?実は、これもNG。顔周りにボリュームが出過ぎて、首が詰まって見え、肩との距離が近くなるため、全体的に大きく見えてしまうのです。正解は、首に一度かけ、両端を「長く垂らす」こと。これも、もうお分かりですね、「縦のライン」の強調になります。もしくは、片方だけを肩の後ろに流すなど、アシンメトリー(非対称)にして視線を散らすのも、おしゃれ上級者に見えるテクニックです。

 

  • バッグの「ストラップ」にも気を配る盲点ですが、ショルダーバッグや斜めがけバッグの「ストラップ」が、肩のラインをくっきりと強調してしまうことがあります。特に太いストラップは要注意。できるだけ細いものを選ぶか、肩に負担がかからない「トートバッグ」や「ハンドバッグ」を選ぶのも賢い選択です。

肩幅が目立たない「ヘアスタイル」

意外と盲点なのが、ヘアスタイルです。髪型は、コーデの一部です。

  • ショートヘア・ボブの場合顔周りをすべて出すベリーショートよりは、トップに高さを出し(=縦ラインの強調)、サイドの髪(フェザーバングなど)を顔周りに垂らして動きを出すスタイルがおすすめです。ボブの方は、「外ハネ」にして毛先に動きを出すと、視線がそちらに散るため、肩のラインがぼやけます。

 

  • ミディアム・ロングの場合ダウンスタイルで、髪の毛で物理的に肩のラインを隠してしまうのも一つの手です。ただし、重たいストレートだと「のっぺり」見えてしまうので、ゆるく巻いて「縦の動き」を出すと、さらに効果的です。

 

  • アップスタイルの場合きっちりタイトにまとめてしまうポニーテールなどは、顔と肩のラインが丸出しになり、最も目立ちやすくなるので注意が必要です。もしアップスタイルにする場合は、必ず「後れ毛」を出しましょう。こめかみ、もみあげ、襟足。ここに「揺れる」毛束を作ってあげることで、視線がそこに集中し、肩のラインが気にならなくなります。

肩幅が広いのをごまかすニットコーデまとめ

 

お疲れ様でした。ここまで、本当に、本当にたくさんのテクニックをご紹介してきました。

情報量が多すぎて、少し疲れてしまったかもしれませんね。

最後に、肩幅をごまかすための、最も大切な心の持ち方と、テクニックの要点をおさらいしましょう。

 

まとめ

  • ネックラインは「縦開き」(Vネック・Uネック)を選ぶ
  • 素材は「落ち感」のある薄手(ハイゲージ)が鉄則
  • サイズは「適度なゆとり」と「深いドロップショルダー」
  • コーデ全体で「縦のライン(Iライン)」と「Xライン」を意識する
  • ボトムスや小物で視線を「下」や「中央」にそらす
  • アウターは肩のラインが曖昧なもの(ノーカラー、ラグラン)を選ぶ
  • ヘアスタイルや小物で最後の仕上げ(視線を散らす)をする

 

一度にすべてを覚える必要は、まったくありません。

まずは、ご自身のクローゼットにあるニットを見ながら、「これはVネックだからOKだな」「これは…ローゲージのクルーネックだから、NGだったのかも」と、答え合わせをするところから始めてみてください。

そして、次にお店でニットを選ぶときは、この記事のポイントを、どれか一つでも二つでもいいので、思い出してみてください。

「あ、ネックラインはVネックだったな」

「素材は、このテロンとした『落ち感』がいいんだった」

そうやって、一つずつ試してみてください。

試着室で、「あれ、いつもよりスッキリ見えるかも?」という嬉しい驚きが、必ずあなたを待っています。

かつて、アメフト選手だと絶望した私ですが、今では「肩幅が広いおかげで、Vネックやシャツが格好良く着こなせる」と、むしろポジティブに捉えています。

もう「肩幅が広いから」と、大好きなニットを諦める必要はありません。

あなたの体型は、あなたの個性です。ポイントさえ押さえれば、ニットはあなたのコンプレックスを隠し、あなたの魅力を最大限に引き出してくれる、最強の味方になります。

今年の秋冬は、自信を持って、あなたに本当に似合うニットコーデを、心の底から思い切り楽しんでくださいね。

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